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腫瘍マーカーとは

 腫瘍マーカーとは、がん細胞の目印のことをいいます。血液の他に、細胞や便、尿などの人間の排泄物を調べて、がん細胞のマーカーが有るか無いかを検査してがんの早期発見、診断や治療の目安をたてることができるのです。

 腫瘍マーカーとしては、CEA(シーイーエー)とAFP(エーエフピー)が代表的なものとして知られていますが、血液や尿で検査する腫瘍マーカーは30種ぐらいあります。

 腫瘍マーカーの検査によって、どの臓器のがんか、悪性のものか、どの治療法が有効か、再発は無いか、腫瘍が手術によって完全に取り除かれたかの一応の目印になるのです。しかし、多くの腫瘍マーカーは、がんのリアル・タイムの実態を数量的に表現するには不確実で、CT(シーティ)、MRI(エムアールアイ)、PET(ペット)やファイバースコープといったメディカル・エレクトロニクスを使った補助診断も不可欠であることは言うまでもありません。

 腫瘍マーカーは現在30種位が実際に臨床上利用されています。しかし人にできるがんの全てをチェックできるマーカーは未だありません。最近注目されているものに「臓器特異性腫瘍マーカー」というものがあります。前立腺がん関連抗原のPSA(ピーエスエー)、胎盤性抗原のhCG(エッチシージー)、神経腫瘍とVNA(ブイエヌエー)カテコールアミン、肝細胞とAFP(エーエフピー)、内分泌腺系がんとNSE(エヌエスイー)などがその例です。多くの腫瘍マーカーは、複数の臓器でつくられるため、一つのマーカー値が高いから、どこにがんがあるとは断定できません。その例としてCEAやCA19‐9(シーエーナインティーンナイン)は、胃、大腸、膵臓、肺のがん細胞で造られるため、腫瘍マーカーの高いことだけでは腫瘍がどこにあるかを断定するにはリスクを伴うことになります。

 腫瘍マーカー検査はあくまで補助診断法です。測定値が高かったり、それが検査の度に増加してくる場合には、がんがどこかにある可能性があります。がんの専門医、しかも臓器別専門医と相談することを強くお勧めします。21世紀は早期発見、早期治療の可能な時代です。