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食物繊維

近年、食物繊維をもっと多く食べるようにいわれたいますが、どうしてでしょうか。それは日本人の食生活が欧米化して、肉食が多く、野菜のとり方が少なくなり、その結果動脈硬化や大腸がんが増えてきているからです。

食物繊維の役割は従来あまり重要視されていませんでした。せいぜい食べ物の量をふやして満腹感を得るとか、便の量が増えて便秘の予防に役に立つとかくらいでした。ところがいろいろ研究が進み、今まで知られていなかった効果が認められるようになりました。その一つは腸内細菌が食物繊維を分解して乳酸や炭酸ガスなどを作り、これが大腸を刺激して腸運動をうながします。したがって、腸内にたまった有害物質を早く排泄させます。

二つ目はコレステロールの吸収量の低下による体内コレステロール濃度の正常化や有害物質の結合或いは希釈です。肉類などが腸で分解される際に、有害物質や発がん物質が作り出されますが、食物繊維はこれらの発がん物質の産生を低下させたり排泄量を増加させたりします。その結果大腸がんの発生率を低下させると考えられています。

それではどんな食物に繊維が多いのでしょうか。食物繊維には水に溶けるものと溶けないものとがあり、共に有用です。水溶性繊維は海藻にたくさん含まれています。寒天、コンブ、ヒジキなどです。また水に溶けない繊維としては、キノコ類、イモ類、コンニャク、ごぼうなどの根菜類、その他すじの多い茎野菜に多く含まれています。

一日必要量は20~30グラムと言われています。菜っ葉だけで採るとしたら、キャベツ半個分食べなければなりません。また固い不消化な野菜ほど各種のミネラルやビタミン類が含まれています。ですから、野菜もいろいろ食べるとよいのです。

しかしながら食物繊維を沢山とれば病気が予防でき、健康が増進されるとは限りません。繊維もとりすぎると、腹がはったり、ゴロゴロ鳴ったりします。また、鉄、銅、カルシウムの吸収障害も起こります。バランスの良い食生活が大切なことを忘れないようにしましょう。