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胆石と胆のうがん

 胆嚢(たんのう)は、右の肋骨のうしろで肝臓の縁の下面にあります。肝臓から流れ出る胆汁(たんじゅう)は、細い肝内胆管を通って総胆管に注がれて、一旦胆嚢の中に溜められます。そして油ものや卵黄などを食べると、胆嚢が収縮して胆汁を送り出します。濃縮された胆汁は再び総胆管に出て、十二指腸に開いている孔(あな)から腸内に排出されます。

 胆石は胆嚢の中にできることが多いのですが、総胆管や肝臓内の胆管にもできます。胆石はどのようにしてできるのでしょうか。最初は胆汁が溜まって、その成分が泥状(でいじょう)あるいは砂状(すなじょう)に固まって、核ができます。この核に胆汁中のコレステロールや胆汁酸塩、あるいは石灰が沈着して、だんだん大きく成長して結石となります。胆石は胆嚢のくびの部分にはまり込んだり、胆管の狭い所に引っ掛かったりしますと、酷い(ひどい)痛みの発作を起こします。いわゆる胃痙攣(いけいれん)とか、しゃくなどと呼ばれているのがこの事です。

 胆石があると、いつも胆嚢の壁や胆管の壁を刺激して、炎症や化膿を起こし易くなります。そのため胆嚢炎や胆管炎を合併したりします。また胆管が塞がり、胆汁が腸に流れなくなると皮膚が黄色くなります。そのため、肝障害をきたします。早めに治療を受けましょう。

 胆嚢内に長期間胆石があると、胆嚢がんができることがあります。これは胆石による胆嚢の壁への物理的刺激と、胆汁酸の化学的刺激が絶えず加わるために、胆嚢の粘膜のがん化が促進されるためです。胆石は、中年以後の太りぎみの女性に多く、また男性でも肥満体の、高コレステロール血症の人にできやすい傾向があります。胆石に胆嚢がんの合併する割合は非常に高く、20?30年間で35?80%ともいわれています。あまり長期に胆石を放置しているのはよくありません。最近は、胆石の新しい治療法もいろいろ開発されています。特に腹腔鏡を使って開腹せずに胆嚢を摘出する方法は、短時間ですみ、入院期間も短くなり術後の経過も良好です。