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胆石症といわれたら

胆石症というのはいったいどんな病気なのでしょうか?

右のあばら骨のうらで、肝臓の内側になすのような形をした袋があります。肝臓から流れ出る胆汁は総胆管という管を通って一旦この袋に入ります。これが胆嚢と言われる臓器です。胆嚢に溜められた胆汁は再び総胆管を下って出口から十二指腸に排出されます。これらの管の中や胆嚢の中に固い石ができることがあります。これが胆石です。

胆石ができていても、なんの症状がない場合には気づかないことが多く、これはサイレント・ストーンつまり無症状結石と呼ばれています。これに対して何らかの症状がある場合は胆石症といいます。つまり症状のある胆石というわけです。

胆石は以前は石灰分を含む固い石が多く、胆嚢内のみならず総胆管や肝臓内の管の中にもできることもありました。近年では、コレステロールの石が多くなっていますし、また胆嚢の中にできることが多くなっています。一般にコレステロールを多く含む欧米風の食物の摂取が増加の原因の一つと考えられています。

胆石があると、どんな症状が起こるのでしょうか。一番多いのは腹痛です。この痛みはかなり激しいもので、いわゆる疝痛と言われます。次に多いのは発熱です。これは胆嚢炎や胆管炎を起こすためです。そのため痛みがよけい強くなります。その他に皮膚が黄色くなる、つまり黄疸がでてきたり、肝機能の障害を来したりします。何十年も胆石があると胆嚢がんができることもあります。

このようないろいろの症状がある胆石症では、内科的治療ではなかなかよくならないことが多く、また合併症を起こしやすいのです。そこで、外科的な治療をしなければならないこともあります。最近の外科的治療では、余病がなく、合併症がない場合には腹腔鏡という内視鏡を用いて手術をするようになってきています。この手術はお腹に小さい切開を3~4ヶ所開けて、腹腔鏡を挿入して胆嚢を摘出することができます。そのため手術後の回復が早く、入院期間も短くてすみます。しかし、合併症があるとこの手術はできません。その場合には従来のように大きくお腹を開けなければなりません。