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乳幼児突然死症候群

 この言葉はあまりあまり聞き慣れない言葉ですが、新聞などで一度くらい見たことがあるかもしれません。これはどういうことかといいますと、それまでに特別な病気があるわけでもなく、普通に健康だと思っていた乳幼児が全く予測できずに死亡してしまう場合を言います。まさに突然死亡してしまうことを言います。しかも、この乳幼児突然死症候群は、死亡した後で原因を調べるための解剖をしてもその原因がみつからない場合がほとんどです。どれくらいの子どもにみられるかといいますと、生まれて1ヶ月から4ヶ月くらいの赤ちゃんが最も多いといわれています。

 ではこのような予期せぬことはどんなとき発生するのでしょうか。それは、睡眠中にいつのまにか呼吸が止まって死亡していたり、それまでに心臓の病気があったわけでもないのに突然心臓が停止して死亡していたということが多いようです。最近の統計では生まれてから満1歳くらいまでのこの乳幼児突然死症候群と思われるものは年間で約500人から600人いるといわれています。ですから、生まれた赤ちゃんの1万人に対して4人か5人という割合です。

 これに対して、厚生省でもいろいろな研究をしてその原因を調査していますがはっきりとした答えが出ていません。いまのところ考えられるものとしては、赤ちゃんをあお向けに寝かせた場合とうつぶせ寝の場合とで比較するとうつぶせ寝の方に多くみられることから、うつぶせ寝による窒息死が主な原因といわれています。また、赤ちゃんが少し小柄で生まれた場合も注意した方がよいといわれています。更に、人工栄養の赤ちゃんや母親の年齢がかなり若い場合、母親や父親などの家族に喫煙をしている人がいる場合などに多くみられる傾向があるといわれています。

 無論、このような不幸なことが起こらないように注意しなければならないわけですが、なにしろ原因がはっきりいしていません。万が一そのようなことになってしまった場合は母親、父親を中心とした家族の悲嘆と動揺はかなりのものになります。従って、家族への心のケアが大切なものになると思います。

 今の段階では、このようなことが少しでも起こらないようにするために、まず、第一に赤ちゃんをうつぶせに寝かせないこと。第二に出来る限り母乳で育てること、そして第三に赤ちゃんにとって不利になるようなことを出来る限り無くすことです。例えば家族が喫煙をしないようにする。家庭内の危険物を取り除く、家族全員が健康に気を配ること、などが重要なことといえましょう。