保険医の生活と権利を守り、国民医療の
向上をめざす

健康ファイルボックス

病気や健康に関する知識をお届けします

TOP > 健康ファイルボックス > 小児科 > 発熱が続く 夏季熱か

発熱が続く 夏季熱か

 まずはじめに夏季熱とは何でしょうか。漢字を当てはめると、春、夏のナツ(夏)という字と季節のキ(季)という字を書きます。この夏季熱という病名はちょっと聞き慣れない病名です。

 一言で説明しますと、気温が高く湿度も高くて蒸し暑い時期に原因不明の発熱が続くことをいいます。これは主として乳幼児にみられます。発熱といっても高熱ではなく、37度台の発熱で、38度を超えることは少ないようです。発熱以外の症状としては、多少の不機嫌や食欲不振などもみられますが慨して機嫌はよいようです。また、咳や鼻汁<はな>などのいわゆる風邪症状はあまり見られません。更に、いろいろな検査をしても異常な結果はほとんど出ません。

 ではどうしてこのようなことになるのでしょうか。それは、乳幼児は体温を調節する機能が未熟であったり、高温の環境下での体熱を放散する能力も不十分なため、からだの中に熱がたまった状態になるためと言われています。ですから、ウイルスやバイ菌の感染によって引き起こされる感染症ではないわけです。

 ではどのようにしたら夏季熱だとわかるのでしょうか。無論二、三日の発熱だけではこれだと断定はできません。ですから、医師の診察を受けて経過を診てもらいながら判断をします。その際、診断の手助けになるのは体温を計った記録が重要です。診断をより確実にするために、朝、昼、夜を通じて一日のうちに三、四回の体温を計って毎日記録してみましょう。特に熱帯夜が続くようなときに、乳幼児がむずがるようなら体温を計ってみましょう。

 それでは、この夏季熱だと判断されたらどのようにしたらよいでしょうか。解熱剤は使わないほうがよいでしょう。水分を充分に与え、部屋の風通しをよくして涼しくしましょう。エアコンなどで気温を下げたり除湿をするのもよいでしょう。但し、夜間および早朝にかけてまでエアコンを付けっぱなしにして逆に冷やし過ぎたりしないように注意しましょう。また、長時間にわたって扇風機の風を当て続けないようにしましょう。

 乳幼児が熱を出す原因には多くの病気があります。何か変だなと思ったら体温を計り、記録するとともに、氷枕や氷のうをあてるなどの手当てを開始しましょう。そして、出来る限り早目に小児科医を受診しましょう。