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RSウイルス感染症

 RSウイルスとは、多くは冬場に流行する病原体の一つで、急性鼻咽頭炎(普通感冒)をはじめ、喉頭炎、気管支炎、細気管支炎、肺炎といった呼吸器の感染症を引き起こします。このウイルスは年長児の気管支炎の1~3割、そして特に1歳以下の乳幼児における肺炎の約5割、細気管支炎の5~9割の原因となり、0.5~2%で入院が必要になると言われています。

 これらの病気はウイルスによる感染症の為、抗生物質が細菌を抑える様な病原体自体に働く薬剤が普通には存在しません(下注参照)。母親から移行した免疫が残っていたとしても生後6か月以下では特に重症化し易く、まれに死に至ることもあり、注意が必要です。

 感染は飛沫と接触、即ちくしゃみや咳で飛散する粒子と、それが付着したおもちゃや、それらに触れた指等を口に入れることで成立します。目や鼻の粘膜からも侵入するので、普通のマスクでは防げませんが、加熱や冷凍、手洗いは有効と考えられています。

 主な症状は、軽症では単なる鼻風邪そのものなのですが、痰のからむゼイゼイした咳、のどにゼーゼーする音(喘鳴)、発熱等が重なって出現して来ると、重症化した細気管支炎等を疑います。特に小さい乳幼児では、数時間で突然重症化することがあります。これらの症状が悪化するようであれば、すぐに受診してください。

 

注) 2011年10月より、ゼロ歳児等の制限は有りますが、外来でもRSウイルスの迅速検査が保険で認められるようになりました。また、低出生体重児や先天性の呼吸器疾患、心疾患等に限られているものの、2002年4月に抗RSウイルスヒト化モノクローナル抗体製剤を予防や治療に用いることが保険で認められるようになりました。しかし体重10kg児で1回に約20万円以上(薬価収載価格のみ)の費用が流行期間中に毎月発生するなど、普及と呼ぶにはほど遠いのが現状です。

 

(最終更新日 2012/3/14)