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ポリオワクチン

 昔は小児麻痺とも呼ばれ、発症すると呼吸障害や手足に麻痺を生じ、障害が生涯残る事も有る急性灰白髄炎というウィルス感染症に対する予防接種です。1960年代に導入された当初は注射による不活化ワクチンでしたが、効果が思わしくなく、海外から経口生ワクチンを緊急輸入し、以後国産生ワクチンが定着しました。

 しかしながら、1980年迄に自然発生は抑えられる様になったものの、今度は経口弱毒生ワクチンに由来する感染が年間一桁位だが報告されており、問題となっています。そこで近年、数社で国産不活化ワクチンの開発が再び行われ、2010年には販売を前提とした最終段階の臨床試験に入っていて、順調に開発が進めば、後数年で承認され販売に至ると考えられています。

 弱毒生ワクチンは3回の経口接種で済むので、安価に注射の様に身体に負担をかけずに終生免疫を獲得可能な点が有利ですが、不活化ワクチンは注射による接種であり、また有効期間が短い為に少なくとも4回以上の接種が必要となり、成人後も渡航先によっては追加が必須となるのが欠点です。(注:現在、日本では2回の経口生ワクチンが行われているのみ)

 ポリオはWHOにて根絶を目指す疾患として指定されていますが、未だ達成されておらず、国によっては流行中であり、海外渡航の際には注意が必要です。

 

(最終更新日 2011/2/21)