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子どものケジラミ

 戦後半世紀以上が経って国民の生活環境も変わり、流行する感染症も様変わりしました。ところが近年、一旦は姿を見なくなったもののうち、再び復活し増加傾向に在るものがあり、その中でも最近良く見る様になったものの一つに虱(しらみ)があります。これは、特に夜間に増強する強い皮膚の痒みと局部の皮膚の炎症を呈し、体毛の根元に鍔(つば)の様に固着した卵か1.2mm位の成虫そのものを確認して診断を付けます。

 虱にはアタマジラミ、ケジラミ、コロモジラミの3種があり、小児、特に女児に多いのがアタマジラミです。また、大人で性行為感染症として知られるケジラミが布団等を介して子供の頭髪や睫毛に移行し、場合によると結膜炎が初発症状となって発見される場合もあります。

 対策として丸坊主にするのは困難な事が多いので、頻回の洗髪と駆除剤を指示を守って使用する事が基本です。虱は衣類や寝具の熱処理や空気を通さないビニール袋等に数日?2週間位密封すると死滅すると言われています。尚、一般に市販されている部屋全体に用いる燻蒸剤は、虱には無効である事が多いので過信しないで下さい。

 また、潜伏期が1ヶ月位あるので場所の特定は困難なのですが、もし医療機関で指摘された場合、水面下での集団発生も少なくないので、子供を預けている保育所や学校等に隠さず、必ず報告する様にして下さい。また、逆に単なる皮膚の痒みとして、前に医療機関で処方されたり、市販の虫刺され用軟膏の一部にも含まれているステロイドを単独で使用すると悪化するので、そういった場合にも疑う事が必要です。