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子どもの鼻涙管閉塞

 私達の目から出る涙は普段は作られていなくて、泣いたり笑ったりしたときに出るものと思われがちですが、実はそうではありません。涙は常に涙腺というところでたくさん作られています。作られた涙は目頭(めがしら)にある涙点という小さな穴から涙小管を通って涙のうという袋に入り、さらに鼻涙管という管を通って鼻に抜け出ます。

 このように鼻涙管はその名の示す通りに目と鼻の中とをつなぐ管のことを言います。ではこの管はどのようなものなのでしょうか。簡単に言いますと、目でつくられた涙のうち余分な涙や使い古された涙を流す排泄管のようなものです。これが目もとの一部にある涙管の口から鼻腔、すなわち鼻から口の奥のところへ通じていて、ここへ涙が流れて行きます。

 では、この鼻涙管が狭くなったり、詰まってしまうとどのような症状がでるのでしょうか。それはまず第一の溢れ出る涙です。また時にはめやにが出来ることもあります。ではどうして涙が溢れ出るのでしょうか。それは簡単にいうとこういうことです。つまり、普通でしたならば目で作られた涙は鼻涙管を通って、外からは見えない鼻の奥の鼻腔というところへ流れてゆくべきものが、排泄されるべき下水管が詰まってしまうと流れるべき場所がなくなってしまい、目の外側つまり私たちが直接目にする外側に溢れてしまうというわけです。従って涙を拭いても拭いても流れ出るというわけです。

 このような鼻涙管が狭くなったりふさがれる原因にはいろいろことがあります。一番多いのは急性涙のう炎、慢性涙のう炎、及びこれらの病気によって引き起こされる涙管狭窄などのよります。これらは涙のう内に涙の中の結膜分泌物がたまって引き起こされると言われています。また、ときには生まれつき鼻腔への開口部が薄い膜でふさがれているという先天性鼻涙管閉塞という場合もあります。これにも単に膜が張るというばかりでなく、生まれつき鼻腔の発育が良くないために起こる場合や鼻粘膜の腫脹(はれ)などが原因のときもあります。こんなときは新生児涙のう炎となりますので、なるべく早くそのふさがれた鼻涙管の入り口を開く手術をしなければなりません。なお、生まれてから1、2週間ぐらいまでの赤ちゃんは普通でもまだ鼻涙管と鼻腔とが通じていない状態だと言われています。

 いずれにしろ、あまり涙が出て変だなと思ったら早めに眼科医に相談して下さい。