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自家中毒について
10月は運動会シーズンです。元気に出場していた子どもが、夜中になって突然頻回に嘔吐し始め、熱も咳も無ければ下痢もしていないのに、急に何故?という事例を時々見ます。
これは、最近は「アセトン血性嘔吐症」とか「周期性嘔吐症」と呼びますが、慣例的に『自家中毒』と呼ばれる病態で、緊張や興奮による交感神経の活性化と、運動するのに必要なエネルギーが元々肝臓に貯蔵されていたグリコーゲンのストックを上回ってしまい、止むを得ず脂肪を分解した為に生じるのですが、半分は生まれつき、半分は普段の食習慣が原因だと言われています。
治療は吐き気止めの薬と水分摂取が基本ですが、嘔吐がひどいと点滴をせざるを得ないこともありますが、子どもは注射の類いを嫌がるので、むしろ予防の方が重要です。
特に脂肪の燃えかすであるケトン体は、体内の他の不要物と違ってオシッコの中にしかすてられないために、沢山汗をかいた脱水と重なると、水を飲んでも嘔吐する症状と御互いに悪循環に入り込んで重症化し易いので注意が必要です。
そこで疲れそうな行事の際のには、ご飯等の主食で炭水化物をしっかりと摂り、あまり脂肪分を沢山食べないようにし、水分にも留意しましょう。また、食事をしないで寝てしまうのも良くありません。おにぎりだけでも食べさせてから寝かせるようにしてください。
その他の注意として、子どもの嗜好品ベストスリーであるチョコレート、クリーム、チーズや、油で揚げたスナック菓子は症状を悪化させ易いので、食欲が落ち始めたら厳禁です。お茶や甘くないジュース、イオン飲料等を少量頻回に与えるように心掛けましょう。
(最終更新:2018.12.25/藤田倫成)