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スキー外傷

 スキー外傷は他のスポーツと比べ身体に与える損傷が甚だひどいものです。スキー外傷の特徴としては、下肢の捻挫が一番多く、次いで下肢の骨折があります。両者をあわせるとスキー外傷の7割強にもなります。また、意外に多いのが顔の切り傷です。足の捻挫は他のスポーツでの負傷に比べ重傷になりがちです。スキーを履いているため、力が加重されて足にかかるので足、下腿にかかる力は比較にならない程大きく、怪我をよりひどいものにするようです。ブーツがプラスチックの靴になり、全体をすっぽり包み込むような型になってから足の関節の障害は減ったのですが、今度は力が足の関節より上にかかるようになったため、下腿骨折や膝関節の捻挫がふえてきました。そこで転倒時にスキーが体から離れ、下肢に負担がかからないような工夫がなされました。

 スキー外傷の他にスノーボード外傷も年々増加してきています。先頃日本スポーツ医学会脳神経外科部会が中心となって、わが国の1000の脳神経外科施設にアンケート調査を行いました。アンケート回収率は70%で脳損傷や脊椎損傷109例(単年度)が報告されています。頭蓋骨骨折26例、急性脳内出血56例、脳挫傷4例や脊椎損傷12例など外傷による頭頚部外傷が多いことが明らかになっています。スキーによる外傷は両足を使い、ある程度の技術の差によってゲレンデを選択し、トレーニングや指導員などの配置がある点、より安全ですが、片足立ちのスノーボードでは熟練者が少ない点で十分に配慮されるべきウインタースポーツではないでしょうか。自分の技量に合った滑り方で楽しむよう心がけることが大切です。