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スノーボード外傷

 ウインタースポーツの代表的なものといえばスキーですが、最近ではスノーボードが若い人たちの間で人気が出ています。スノーボードとは一枚の板(ボード)にに両足を固定してストックを使わずに雪の斜面を滑り降りるスポ―ツです。ここ数年来スノーボードによる脳、脊椎損傷などが問題になっています。日本臨床スポーツ連合会の脳神経外科部門でわが国にある約1000の脳神経外科へアンケート調査を行った報告が発表されています。回収率70%の集計によると、例えば平成8年12月から平成9年3月までのわずか1シーズンでも109例の脳・脊椎損傷が報告されています。頭蓋骨骨折26例、急性硬膜外血腫9例、急性硬膜化出血45例、脳実質の損傷24例、慢性硬膜下血腫12例など109例に上っています。椎骨脊髄損傷など整形外科で取り扱われた数はもっと大きいと推定されます。岐阜県奥飛騨地方のある救急病院ではスキー外傷数が減る一方なのに、95年以来ボード外傷数が増加して1999年度では5倍になったことから、危険なスポーツであることを認識するように警告を発しています。外傷患者の多くが20台と若年層をしめること、さらに事故のきっかけがアイスバーンでの転倒やジャンプによるものが多く、スキーのそれが各年代にわたること、湿った雪面上の衝突や転落によるものとに比較してやや異なった特長をもっているようです。

 スキーは各種の装具も揃い、技術指導や準備運動の必要性なども長年のレジャースポーツとしての歴史もあります。一方スノーボードはまったくの初心者でも広いボードの上に両足で立ってバランスをとれば滑走が出来ることから、安易にそして十分な指導なくして気安くできるスポーツという考え方があり、そこに大きな差があるように思われます。健全な楽しめる冬のスポーツとして育つためにはボーダーの意識改善やスノーボード場の安全管理の方策を至急立てることが望まれるところです。