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子どもが頭を打ったら

 子供が頭を打った時、周囲が“CTをやって下さい”“脳波はとらなくて良いのですか”など大慌てすることが多いようです。頭の怪我は外見より重いことがあるといっても「絶対安静」「頭を冷やせ」「入院させて下さい」といった無意味な騒ぎは無用と考えて下さい。

 頭を打った時、激しく泣く事はしても、子供は自分の痛みや吐き気などを正しく訴えることはできません。幼小児の頭部外傷は、成人の場合と違って、周囲の人達が慌てないでその場の様子を良く見極めることが必要です。どんな様子で頭を打ったのか、例えば階段の何段目から落ちたのか、転がるように落ちたのか、また、床の上に何があったかなどを十分に把握することが必要です。その直後はどんな様子だったか、両手足を動かしていたか、吐かなかったか、顔色はどうだったか、ひきつけを起こさなかったかなど、その時の様子を要領よく医師に伝えて下さい。ぐったりして呼んでも反応のない場合や、両手足がダランとして動かさない時は頸の骨折や脱臼を合併していることも考えて、頸を安易に動かしたり、ゆさぶったりすることは危険です。

 頭を打った時の大切なチェックポイントは意識の状態を時間を追って観察することです。受傷後24時間は2時間毎に冷静に観察する必要があります。目が覚めているか、ウトウトしても刺激すると目を覚ますか、強い刺激でも全く反応しないか、という大ざっぱに三段階に分けて観察することです。

 受傷後24時間の間に意識が段々と悪くなるようなら、救急車で脳外科の専門病院へ直行することを心掛けてください。受傷後どんどん元気になる場合は大慌てすることはありません。頭皮からの出血はかなり大量に見えますが、意識さえしっかりしていれば傷口を強く圧迫して、近くの外科に処置してもらえばまず心配ありません。頭蓋骨骨折があったり、脳波に異常が一時的にみられても専門医の診察を受けていれば予後はそれほど悪くないはずです。

 乳児や小児の場合を含めて、頭部外傷には“意識清明期”つまりハッキリしている時期もあり、受傷後6?7時間後に急に意識障害やてんかん発作を起こして重篤な症状が出現することもあるので十分な経過観察が必要です。しかし、受傷直後の脳波異常があっても多くの場合、やがて正常脳波になるのが普通ですし、頭蓋骨骨折でも頭蓋内に異常が起こらなければまず問題はありません。