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脳の検査にはどんなものがありますか

 かつては、運動麻痺、知覚異常、病的反射のあるなし、ふらつきの様子などの神経学的な異常を見つけだし、それに頭蓋骨や脊柱のレントゲン、脳波そして脳圧の上昇を示す眼底カメラなど異常を調べて総合的に診断を下していたのです。

 多数ある検査法のうちから、最近日常診療で行われる代表的なものを挙げてみましょう。

  1. 単純レントゲンの撮影は、頭部(とうぶ)外傷の時の骨折や背骨の変形の様子を調べます。
  2. 脳波は、てんかんの診断には不可欠で外傷後遺症や脳腫瘍、脳血管障害の経過観察に役立ちます。
  3. 超音波は、頸動脈(けいどうみゃく)の血流を調べるのに用いられ、血流の速さ、血流の量そして血管の太さの正確なデータが得られるので、一過性脳虚血(のうきょけつ)などの診断に用いられます。超音波検査による第三脳室のゆがみから、脳腫瘍や脳出血や外傷性頭蓋内血腫(がいしょうせいずがいこつないけっしゅ)の大きさも推定できます。
  4. 脳シンチグラフィーは、腫瘍内に取り込まれた放射性同位元素や、脳梗塞による血行動態を検出するのに役立ちます。
  5. CTは、コンピュータで脳の薄い輪切りにした面にX線を照射してその映像の濃淡を再合成するもので、脳の診断を脳の断面図上に描出することができます。
  6. MRIは、CTのX線の代わりに磁力線を利用するもので、より精密により細かく検査できる特徴もあります。しかし脳動脈瘤や脳動脈奇形の術後や心臓ペースメーカーが埋め込まれた症例には金属片の影響が磁力に及ぶので注意が必要です。
  7. 単光子(たんこうし)放出断層撮影、いわゆるSPECT(すぺくと)は、放射性同位元素を注入してトレースする検査です。更に陽子放出断層撮影、いわゆるPET(ぺっと)は、半減期の短い同位元素を注入してその原子核から陽電子崩壊をX線CTでとらえるものでサイクロトロンを併設する必要があります。

 ―この様に高度のME(えむいー)機器の導入と核物質併用など医学の進歩は日進月歩です。