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怖い頭痛

 “頭が痛い”という症状は、その原因をしっかりと確かめる必要があります。それは頭痛の原因の中には危険な生命とりになる疾患があって“頭痛持ち”とか“偏頭痛”として痛み止めで、軽くすましてはならないものもあります。

 頭痛の分類は、1962年にアメリカのNIH特別委員会でその基準が決められてから、広く臨床面で応用されるようになりました。さらにメデイカルエレクトロニクスの進歩によって、その原因の大部分が確実に解明され、良好な治療成績を挙げています。

 頭痛は大きく分けると、あまり心配しなくてよい機能性頭痛と、専門医の診察を受けて早めに治療しなければならない症候性頭痛がありますが、頭痛の70%程度は機能性頭痛といえます。脳それ自身には痛みは無いということ、又頭痛の原因は頭蓋骨の中にあるとは限らないということを是非知って下さい。

 あまり心配しなくてよく、生命の危険のない機能性頭痛の代表的なものに筋収縮性頭痛があります。後頭部や首筋の筋肉がこり、血液の循環が悪くなって起こるものです。皮膚の下や頭の中の太い血管が拡がったり収縮したりして、ズキズキといった拍動性の痛みを起こす血管性頭痛や、偏頭痛でありながら頭痛のある側の顔が赤くなり、汗をかいて鼻づまりや涙が出る群発頭痛もこのグループに入ります。

 それに対して正しく早期診断を受ける必要があるのが症候性頭痛です。脳内出血、くも膜下出血、脳腫瘍、外傷性頭蓋内出血や細菌、ウイルスによる髄膜炎など、脳そのものに原因がある危ない頭痛です。この危険な頭痛には必ず前兆があります。一般に突然今までの経験したことのない激しい頭痛がおこり、急激に悪化し、時には意識障害を起こす突発ピーク型はくも膜下出血、徐々に痛みが強くなり、吐き気やめまいを伴うジワジワ進行型は脳卒中、朝起きがけに強い頭痛があり時には突然嘔吐して、す一っと楽になってしまう目覚め型は脳腫瘍のさきがけ症状とも考えられます。これらの前ぶれがあったら、早期に専門医を受診して下さい。

 頭痛の治療は、頭痛止めの薬を使用して様子をみるというのは、も早古い考え方であることを知ってください。頭痛ほど早期診断、早期治療を必要とすることを是非心得て下さい。治療法も最近の進歩は目覚しいものがあり、かつては不幸にして開頭術を必要としたいわゆる“怖い頭痛”の原因治療にも、血管内手術やガンマーナイフなどの高度な技術が導入され、高成績を上げているのです。