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慢性頭痛とはなんだろう

 頭痛という言葉は、いろいろなところで使われ、更には慢性頭痛とか片頭痛といった言葉ほど、しっかりとした理づめの定義もなく独り歩きしている言葉はありません。考古学的にも、頭痛という現象はヒトの歴史の初めから存在していたことが立証されています。

 一生のうちで頭痛を経験しない人は殆どいないと思われます。しかし又、この訴えは “たかが頭痛”といって対症療法で放置されたり、“片頭痛だから頭痛薬で様子をみよう”といって軽んじられる傾向があります。片頭痛とか慢性頭痛は症状名であって疾患名でないことをこの際よく知って下さい。“頭痛ぐらい”といった気持ちは医師の側にもあるといったら言い過ぎでしょうか?血管性頭痛は痛み止め、緊張型頭痛はトランキライザーと筋弛緩剤で、片頭痛のような局在性のものはカルシウム拮抗薬と簡単に片づけられてしまい、後になって重大な原因疾患が診断される場合も多くあります。

 慢性頭痛という表現は、現在専門医が採用している国際頭痛学会の大分類13項目には含まれていません。ですから今日のテーマ慢性頭痛というのは、定義通り解釈すれば時間的にダラダラと続く頭痛とか、繰り返される頭痛発作とかいった類のものを指すと考えられます。今まで“怖い頭痛”などでお話しましたように、頭痛とは人によって強さによって、頭の部位によって千差万別で、痛みを訴える人の認知の程度によって色々な差があります。ですから、国際分類では慢性頭痛は緊張型頭痛群、群発頭痛群、頭部外傷による頭痛の三大分類をさらに細かく分類したものに属するものとしてしか取扱われていません。この分類以外の頭痛はまず無いといってよい程しっかりと定義されて、診断基準が確立されています。診断が確立していれば診療方針も決定されることになり、ただ漠然と続くいわゆる慢性頭痛は専門的には殆ど無いといってよいと考えられます。”たかが頭痛されど頭痛”です。この際、頭痛の専門医と一度相談することが必要です。