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胎児性アルコール中毒

  社会生活が変化していくと共に、いろいろな食性や嗜好品の消費も変化してきます。その中の一つに酒類が挙げられます。酒類つまりアルコールの消費量は毎年上昇しています。特に、近年の特徴として女性のアルコール消費が多いということがあげられます。

  一般に、男性が酒を飲む場合はつきあいや楽しみという理由が多いといえますが、女性が酒を飲む場合は、さびしさをまぎらすためとかが多いといわれています。主婦のキッチン・ドリンカーなどといわれるのはその例といえましょう。

  最近、胎児性アルコール症候群が話題になってきました。胎児性アルコール症候群という言葉はあまり聞き慣れないものですが、簡単にいうと、妊娠中にお母さんが酒類をたくさん飲むと、生まれてくる赤ちゃんにいろいろな障害が出る場合があるというものです。

  胎児性アルコール症候群になる原因はまだよくわかっていません。おそらく妊娠中の母親がアルコールを飲んだことによって、少しずつ発育している胎児の神経系統に悪い影響を与えるのではないかといわれています。胎児性アルコール症候群の主な症状は生まれつきのものが多く、例えば頭や顔の大きさが普通の赤ちゃんと比べて小さい、目の大きさが小さい、口蓋裂、心臓の奇形、知能の遅れ、発育の遅れ、運動の障害などがあります。

  わが国ではまだあまり多くありませんが、今後わが国全体のアルコール消費量が増大するにつれて問題となるでしょう。もちろん、妊娠中にアルコールを飲んだからといって、全ての胎児に障害が出るというものではありませんが、妊娠中はアルコールをはじめとして、タバコ、薬などはできる限り止めるようにしましょう。