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外耳道湿疹

 外耳道は入り口から3分の1とその奥3分の2では構造が異なります。入り口から3分の1は軟骨部外耳道といって軟骨や皮下脂肪があり、皮膚には耳垢腺(耳あかをつくる場所)と皮脂腺があります。ここには自律神経が分布しているため、心配や疲れでストレスを受けたり、その時の温度や湿度のような気象の変化で分泌が増えて痒くなります。さらにひっかいたり、こすったりする機械的刺激で前より一層分泌が盛んになり、かゆみもさらに強くなります。それにフケ症や耳垢(みみあか)の多い体質ではかゆみはさらに強くなります。また中年以上の婦人では、皮脂腺からの分泌が急速に低下するため、かゆみを感じるようになることがあります。このような場合には、耳そのものには異常は認められません。

 外耳道の奥3分の2は骨部外耳道といって、骨に直接皮膚が接しているため、綿棒など柔らかいものでも触れただけで痛みを感じます。この部には皮脂腺もないため、通常耳掃除をする必要がありません。なんらかの原因で炎症が起きると、炎症による痛みが末梢神経に伝わり、それをかゆみとして感じるようになります。そのため外耳道をかくと皮膚が傷ついて炎症は増悪することになり、ますますかゆくなるのです。しかしこの場合の病態は湿疹とは異なるのですが、治療は湿疹の治療と同じです。

 アトピー性皮膚炎の乳幼児においては外耳道の入り口や耳介に湿疹が生じるとそのかゆさのため、夜眠れなくなり、夜泣きやぐずったりすることがあります。これにはなんらかのアレルギーがかかわっていて、中でもダニやハウスダストがその原因と考えられます。湿疹のため滲出液が出てきて、さらに痂皮(かさぶた)が出来て、そこにカビがついて増殖すると、耳だれやかゆみを感じるようになります。

 湿疹の治療はまず局所の清掃です。十分に消毒液で洗い流した後、ステロイドのクリームか軟膏を塗布します。感染が加わっているような場合には、抗生剤クリームか軟膏を追加します。かゆみや耳だれが強い場合には局所治療だけでは不十分ですから、抗ヒスタミンか抗アレルギー剤の服用が必要となります。予防としてはかゆいのを我慢するのはつらいことですから、そういう時には綿棒に処方されたクリームをつけてそっとかいてください。 かゆみを繰り返したり長引く場合は、カビが原因のこともあるため、ステロイドや市販の外用剤では悪化することがありますので、耳鼻咽喉科で診てもらってください。

 

(最終更新:2018.9.21/東山佳澄)