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大人の鼻づまり

 通常の呼吸は鼻腔を通して行われる鼻呼吸ですが、いろいろな原因により鼻腔に狭窄(きょうさく)や閉塞(へいそく)が起こると、鼻呼吸が障害され、それを「鼻づまり」として感じるようになります。また、鼻からノドに通じる上咽頭<じょういんとう>に狭窄や閉塞があっても同じように鼻づまりが起きます。おとなでは急性鼻炎を繰り返したり、アレルギーが原因となってアレルギー性鼻炎を反覆しているうちに鼻の中の粘膜が腫れると肥厚性鼻炎(ひこうせいびえん)となり鼻づまりを感じるようになります。花粉が原因の場合は飛散時期だけの一時的な鼻づまりですが、ダニやハウスダストのような1年中ある原因では、アレルギーの薬物療法だけでは鼻づまりを治すことが困難な場合があります。

 これらに対して最近盛んに行われるようになったレーザー治療や鼻の中の粘膜を切除する手術が有効です。頭蓋骨や鼻中隔(びちゅうかく)軟骨のアンバランスにより、上下に圧迫されて起きると考えられている鼻中隔彎曲症<びちゅうかくわんきょくしょう>は、おとなではほとんどの人に認められますが、自覚的に強く鼻づまり訴える場合のみ病気として治療の対象になります。これは点鼻薬で一時的には自覚症状は消失しますが、根本的に治すには手術が必要となります。

 慢性副鼻腔炎では片側または両側に鼻茸(はなたけ)ができることによって鼻づまりを感じるようになることがあります。時には片側の上顎洞(じょうがくどう)の粘膜が腫れて鼻茸(はなたけ)となり、さらに後鼻孔(こうびこう)の方へたれさがることがあり、後鼻孔ポリープと呼んでいます。その場合は垂れ下がったものを切除する必要があります。

 慢性副鼻腔炎で、膿汁のために鼻づまりを感じるものがあります。これは抗菌剤の発達により手術等をせずに治療できるようになりました。上咽頭に原因のある鼻づまりでは腫瘍が重要ですが、ファイバースコープの発達により診断は容易になりました。中でも上咽頭の悪性腫瘍の治療成績は現在でもなおはかばかしくありませんから、より早期の診断が大切です。