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注意しよう、声がれが続いたら

 声がれは声を作り出す器官が具合悪くなって、声が病的に変化した状態です。その音質は聴覚的にはいくつかに分けられます。一つは粗造性の声で、声帯が不規則に振動するためにガラガラ声となります。これは早期の声門ガン、声帯ポリープ、喉頭炎があります。二つ目は息がもれる感じがする声で、これは声帯がうまく閉じないために、声を出すときにすきまが開いたためにおきる、いわゆるハスキーボイスです。反回神経麻痺や心因性発声障害があります。三つ目には気力がなくなったことによる声がれがあります。これは声帯が薄くなったり、緊張がなくなるときにも弱々しい声となります。これには反回神経麻痺や心因性発生障害、それに全身衰弱が考えられます。四つ目は無理に声を出そうとすることによる声がれです。これは声帯が異常に硬く、緊張状態が強くなったときに、声は異常に高くなり、いかにも無理してきばった感じを受けます。進展した乳頭腫、喉頭ガン、緊張性発声障害の場合にみられます。実際の声がれにはこれら四つの要素が組み合わさっていることが多いようです。

 これらの病気の中で最も気をつけなければならないのは、喉頭がんと反回神経麻痺です。喉頭ファーバースコープの発達はこれらの病気の診断に大きく貢献しています。さらに喉頭ストロボスコピーの導入により、声帯の振動状態を観察できるようになったために、喉頭の病気の進展状態を質的に評価できるようになりました。それに造影CTやMRI撮影を行うようになってから、その診断と治療は飛躍的に進展してきました。

 現在では初期の喉頭ガンでしたら80から90%の治癒率ですから、症状がでたら早めに受診して下さい。反回神経麻痺は病気そのものの名前ではありませんから、麻痺があることがわかったら、精密検査をしてその原因の発見に努めましょう。原因の中には生命にかかわる病気があるからです。そのための治療は麻痺の原因に対する治療と機能障害に対する治療とを手順よく行うことが必要になってきます。