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鼻中隔彎曲症とは

 鼻は鼻中隔という軟骨でつくられた壁で左右の鼻孔に分けられています。生まれた時には真っ直ぐなのに、成長するにつれて骨でできている鼻腔(びくう)と軟骨でできている鼻中隔に発育の差ができるためと、前頭部の重さのため次第にどちらかの鼻孔に曲がってしまうため鼻中隔彎曲がおこります。

 この病気はヒトにだけおこり、動物では稀です。成人では程度に差はありますが90%以上にみられます。これになんらかの自覚症状が出た場合を「鼻中隔彎曲症」と呼びます。

 曲がったほうに急性中耳炎、滲出性(しんしゅつせい)中耳炎が起きやすくなり、また小児の鼻出血の原因にもなります。鼻づまりが強くなると、いびきがひどくなり、「睡眠時無呼吸症候群」の原因となります。成人では曲がっているために頭痛や偏頭痛が起きることがあります。また、近年、球技などのスポーツが活発になるにつれ、脱臼や骨折あるいは血腫などの鼻中隔の損傷による彎曲が増加しています。治療は薬物療法よりも主に手術が行われます。

 一般には手術は外鼻の発達がほぼ完成した16歳以上に行われますが、手術に対する絶対的な適応は無いという意見もあります。子供のころから鼻づまりに慣れている人は、大人になってから鼻づまりを自覚した人に比べて、その許容度が大きいので敢えてその手術を必要とはしない場合も多いのです。手術は、いびきがひどく、本人や家族の方々が睡眠障害を起こしたり、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎(ふくびくうえん)や、肥厚性鼻炎を伴う鼻づまりのため日常生活に障害を起こす場合に適応となります。

 手術後の鼻は外力に弱くなっていますので、ボクシングやレスリング、相撲などのスポーツは避けたほうがよいでしょう。