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扁桃周囲膿瘍

 風邪気味でのどが痛いのにそのままにしていたり、抗生剤を飲んだのに次第にのどの痛みが強くなり、そのうちに物を飲み込むと極度に痛かったり、痛みが耳に響くようになります。ついには口を開けることができなくなったり、普通に話が出来なくなってしまったり、口臭を伴うこともあります。同時に高い熱と痛い方の首のリンパ腺が腫れてきて触ると痛みを感じるようになります。のどを見ると扁桃とその周辺は非常に赤く腫れ上がっています。このような症状とのどの所見があったら、扁桃周囲膿瘍という病気かもしれません。これはのどの奥に膿がたまったために起きたものですから、その膿を取り除かないと良くなりません。

 この病気は20代から30代に多く見られ、小児にはまれです。この膿をそのままに放置しておくと、膿は扁桃組織のまわりの副咽頭という隙間に入り込みます。この時は痛い方の首の腫れに注意しなければなりません。さらに治療が不十分の場合には、膿は喉頭から胸の奥に達して呼吸困難を伴う重症な炎症を起こすこともあります。

 この扁桃に溜まった膿は以前は切開して排膿するのが治療の第一選択でしたが、いまでは針をさして膿を吸引し、その膿の中の細菌を調べて、抗生剤で治療をする場合もあります。ただのどの痛みで口を開けることが出来ないため、食事が出来ませんから、脱水を起こしていることが多いので、場合によっては入院して治療を行わなければならない時もあります。以前はこの病気に罹ると炎症が引いたあと、扁桃をとる手術が行われました。現在では再発例が少ないことから手術を行う例は少なくなりました。