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扁桃肥大は病気か?

 扁桃は口を大きく開けるとノドの奥に見える梅の種子大の、二つの口蓋(こうがい)扁桃のことを指しています。扁桃は代表的なリンパ臓器ですが、出生直後ではまだ完全な形をしていません。それが生後数ヶ月で発達し始めて、1歳でほぼ形態的には成人と同じようになります。それからはリンパ球とリンパ球の集まりであるリンパ濾胞(ろほう)が増加するにつれて、生理的な肥大が進みます。4歳くらいで加速がついて、7歳くらいでピークに達しますが、その後はすこしづつ小さくなります。これは扁桃がリンパ臓器としての免疫的な役割が終わったことを示しています。従って小児期の扁桃肥大については急性の炎症を繰り返したり、慢性の炎症像を示さない限り病的なものとせず、誰にもあるものと考えてよいでしょう。

 扁桃は、年齢と共に肥大するのですが、あまりに巨大になると扁桃の収まっている咽頭が狭くなり、そのためにイビキの原因になったり、食べ物が飲み込みにくくなったりして、固形物の通過が障害されることがあります。さらに食事時間が長くなり、食べる量も少なくなるため、いわゆる“食の細い子”と言われるようになり、慢性的な栄養障害の原因ともなります。さらに進行すると夜寝てから発作性に呼吸困難を引き起こす「睡眠時無呼吸症候群」になることもあります。また、口腔の形がいびつになるため含み声となり、話が聞きづらくなります。また鼻からノドにかけて空気の流れが妨げられますから、鼻や副鼻腔の慢性の炎症を引き起こします。このように扁桃肥大は気道が狭くなることによる呼吸困難や物を飲み下すことが出来なくなったりするだけでなく、さらには全身的な影響を及ぼすことになるのです。このような場合には扁桃を取ることをすすめます。