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小児急性鼻副鼻腔炎

 私たちの鼻の周辺には、頬やおでこの奥などに副鼻腔という空洞があり、鼻の中とつながっています。ここに炎症が起こって粘膜が腫れたり、膿が溜まってしまう状態を副鼻腔炎といいます。副鼻腔炎の多くは急性鼻炎(いわゆる「鼻風邪」)から続いて起こり、両者が併発している場合も多く、最近では「鼻副鼻腔炎」と呼ばれるようになっています。

 鼻風邪はまず、鼻粘膜や咽頭(のど)粘膜にウイルスが感染することにより起こることがおおく、「水っぱな」が主な症状で、数日で治ります。しかし、ウイルス感染によって障害された粘膜に細菌の感染が加わると粘膜の腫脹(鼻づまり)、粘性の鼻汁(鼻みず)、頭痛などの症状があらわれます。

 小児の場合、学童では鼻づまりのために疲れやすくなったり、怒りっぽくなります。それに頭が重いといった症状が加わると、物事に集中できにくくなって学業の低下をまねくことがあります。小さなお子さんでは鼻づまりや頭痛を訴えることができないため、機嫌が悪い、ミルクや母乳の飲みが悪いという症状としてあらわれる他、寝ているときに鼻みずが喉に流れ込み、「痰の絡んだ咳」があらわれます。これを放っておくと気管や肺の炎症を引き起こしてしまいます。また、鼻みずが鼻から喉に流れ込む際に、途中にある耳管(耳と鼻をつなぐ管)にも入ってしまうと急性中耳炎を引き起こしてしまいます。お子さんの耳が痛くなるのが夜中に多いのはこのためなのです。

 鼻副鼻腔炎は細菌感染によっておこるため、治療は抗菌剤や鼻汁の排泄を促す薬剤などの投与となりますが、それとともに重要なのが鼻のお掃除です。小さなお子さんはまだ鼻をかむことができませんから、お母さんの手助けが必要です。市販の鼻みず吸引器などですこしずつ吸ってあげることが大事です。鼻をかめるお子さんでは、強くかみすぎると鼻の粘膜が腫れやすくなってしまうこともあるため、ため息をつく位の力加減でゆっくりかむのがよいです。

 小児の鼻副鼻腔炎は、保育園や幼稚園などの集団保育の場合や5歳以下の小児に再発や遷延化が起こりやすく、特に冬場はずっと注意が必要となります。お子さんが鼻風邪をひいてしまった場合、鼻みずが黄色くなったり、粘り気が強いため出し切れないようであれば、早めに医療機関を受診するようにしましょう。また、治療を受けて鼻みずがおさまったように見えても、「痰の絡んだ咳」が続く場合は油断せずにしっかりと治療を続けることが大切です。

 

(最終更新日:2014/2/4)