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眼科の学校健診

 かつてはトラコーマに代表される感染力の強い病気があったため、学校健診の最大の目的はこのような病気の予防や治療でした。しかし、衛生環境が向上した現在ではそのような病気を診ることはほとんどなくなり、学校健診の目的も大きく変わろうとしています。 

 現在の眼科学校健診の第一の目的は視力の管理にあると言ってもよいでしょう。学校では、すでにメガネやコンタクト・レンズを使用している場合にはそれらを使用したときの視力、使用していない場合には裸眼視力を測定します。その結果、片目だけでもある程度以上の視力がなければ、眼科の医療機関を受診するよう勧めます。多くの場合は、遠視・近視・乱視やその度数変化によるもので、メガネ等の使用について検討することになります。

 しかし、頻度は少ないものの病気のために視力が低下している場合もあります。病気の有無は医療機関で調べなければわかりません。「近視が進んだのだろう」とか、「メガネをかけるのが嫌だ」などと言って放置しておくと、病気の発見が遅れてしまうこともあります。また、小学校低学年ではそれ以前にみつかっていてもよいような先天性の病気や弱視が放置されていることもあります。学校から眼科の受診を勧められたら是非、面倒がらずに受診してください。

 健診の第二の目的としては健康教育があげられます。将来にわたって目の健康を維持するために、目や目の病気について正しい知識を伝えようというものです。特に若い人向けの雑誌などで、医学的に根拠のない視力回復訓練や、営利を目的とした企業誘導型のコンタクト・レンズ販売、屈折矯正手術の広告が目立ち、問題になっています。そこで、このような健康教育の必要性が唱えられるようになってきました。時間や場所などの制限もあり、まだ一部で試みに行われている段階ですが、今後このような機会が増えることが期待されます。

 

(最終更新日:2010/1/28)