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市販の点眼薬

 人気タレントを起用したCM、低価格を売り物にしたドラッグ・ストアの増加で、市販薬に対する敷居が低くなっているようです。

 軽い症状ですと、ついつい市販薬で様子をみるという方が少なくありません。でも、果たしてそれでよいのでしょうか。今回は、市販の点眼薬について考えてみたいと思います。
 市販の点眼薬の成分を大別すると、黒目の表面すなわち角膜を保護する成分、炎症を抑える消炎剤、血管を収縮させる成分、抗菌剤、表面麻酔剤となります。その他に爽快感を出すためだけの成分が含まれているものもあります。

 このうち、角膜保護成分、消炎剤については、医療機関で処方されるものよりも薄い濃度でしか配合されていません。

 血管を収縮させる成分は短時間で充血をとるので、美容的な理由で一時的に使用することはやむを得ませんが、充血の根本原因を治していることにはなりません。

 抗菌剤として使用されているものは、現在医療機関ではあまり使われることのなくなったものが多く、また濃度も薄いため、その効果には限界があると思われます。

 表面麻酔剤は医療機関では主に検査のときに使用されます。傷やゴミのためにつらい痛みを一時的に抑えることにはなりますが、根本的な治療にはなりません。また、眼表面の傷の治りを遅くしてしまう作用もあるので、連続的な使用は避けるべきでしょう。

 以上をまとめると、市販の点眼薬は一時的に症状を押さえることはできても、その原因を根本から治すようなものではないということです。街の薬局で自由に購入できる薬には規制があり、医療機関で処方されるものほどの効力はありません。症状が繰り返たり、続くようでしたら、眼科医の診察を受け、適切な処置や薬の処方を受けられた方がよいでしょう。