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白目の充血と出血

 「白目が赤い」という症状は決してまれなものではありません。多くの患者さんは「充血している」と表現されますが、それが必ずしも充血であるとは限りません。また、充血であっても種類があります。ここでは「白目が赤い」ときにどのようなことが考えられるかをお話ししましょう。

 白目が赤い場合、充血と出血とが考えられます。充血は血管が太くなっていて、全体として赤っぽく見える状態を言います。さらに充血は結膜充血と強膜充血とに分けられます。結膜は白目と瞼の裏側の表面を覆う膜で、この膜の血管が太くなっている状態が結膜充血です。結膜の炎症、すなわち結膜炎があると結膜充血が生じます。結膜炎の原因はアレルギー、細菌やウイルスの感染、物理的・化学的刺激など多種多様です。一方、強膜は白目の白い色をしている膜で結膜の下にあります。この膜の充血が強膜充血です。強膜自体の炎症、すなわち強膜炎の他、強膜の下にあるブドウ膜の炎症、すなわちブドウ膜炎でも強膜充血が認められます。強膜炎の原因はほとんどの場合不明ですが、数日で治ることが多く重大な障害を起こすことはありません。しかし、ブドウ膜炎では程度によって視力障害が生じる場合もあり、適切な診断と治療が必要です。いずれにしても、充血が2、3日続く場合は眼科医を受診し、きちんと診断を受けることが大切です。

 次に、出血は結膜の下に血液が貯まっている状態で、べたーっと赤く見えます。これは皮膚にできる「あざ」と同様のものです。通常、時間とともに徐々に吸収され消退していきますので、これだけであれば放置しておいても構いません。打撲の後であれば、それが原因と考えることができますが、それ以外の場合は原因不明です。視力など、目の機能には何ら影響はなく病的な意義はありません。ただし、頻繁に繰り返す場合には血液が固まりにくい異常があるとも疑われますので、検査を受けた方がよいでしょう。

 写真1:結膜充血

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写真2:結膜下出血

ketumakukasyukketu.jpg

 

(最終更新:2018.9.21/田辺由紀夫)