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飛蚊症

  「黒いものが飛んでいるように見える」 症状のことを飛蚊症といいます。虫の蚊が飛んでいるように見えるという意味ですが、患者さんはその他に水玉、すす、糸くず、おたまじゃくし、輪など様々な表現をされます。眼科を受診する患者さんの症状としては決して稀なものではありません。

  飛蚊症は、眼球の中にある硝子体<しょうしたい>という本来透明な部分に濁りが生じて、光が眼球に入って来たときに、影を作るために起こります。濁りには先天的なもの、後天的なもの、また病的なもの、病気ではない生理的なものがあります。

  硝子体は元々、生卵の白身のようなドロッとした物質ですが、年令とともに少しずつ変化してその中に液体の貯まった袋のようなものを作ります。この袋は徐々に大きくなり硝子体自体は縮んで濁りを作ります。さらにこの変化が進むと、硝子体とその外側にある網膜という膜との接着部分がはがれて、濁りとなることもあります。これを後部硝子体剥離<こうぶしょうしたいはくり>と言いますが、ここまでの変化は加齢によるもので、病気とは言えませんから治療の必要もありません。

  一方、網膜に孔があき網膜剥離に至る網膜裂孔<もうまくれっこう>、眼底の病気にともなう出血や炎症、そしてブドウ膜炎といった病気でも硝子体の濁りは生じます。これらによる飛蚊症は病的なものですので、治療の対象になります。したがって、飛蚊症を自覚したときには、まず眼科医の検査を受けて病的なものかどうかを診てもらうことが大切です。また、後部硝子体剥離の6~19%に網膜裂孔が起こるといわれていますので、一度年齢によるものだと言われても、飛蚊症の程度が強くなったときなどには再度、検査を受けた方がよいでしょう。