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網膜剥離

 目の病気の中でも、網膜剥離<もうまくはくり>は比較的その名前を知られている病気のひとつでしょう。新聞や雑誌の健康記事で取り上げられることも、稀ではありません。皆さんも名前くらいは聞いたことがあるでしょう。

 網膜は眼球の最も内側にある膜で、ここには視細胞という光を感じ取る細胞があります。視細胞で感じた光の刺激が脳に伝えられることで、私たちはものが見えるのです。網膜剥離はこの網膜がその外側にある脈絡膜<みゃくらくまく>から剥がれた状態を言います。網膜は脈絡膜側にある血管から栄養を受けている部分もあるため、網膜剥離が起こると網膜は正常な機能を果たせなくなります。その結果、剥離の起こった網膜に対応する部分の視野が欠けたり、剥離が網膜の中心まで及べば視力が低下します。

 ほとんどの網膜剥離は、手術で治療をすることになります。その方法は剥離のある場所や程度によって少しずつ異なりますが、いずれの場合も剥がれている網膜を元の位置に戻し、その外側に癒着させるようにします。しかし、剥離が中心まで及んで視力が低下してしまい、ある程度以上の時間が経過していると、視力が完全には回復しない場合もあります。できるだけ早く見つけ、早めに手術をすることが重要です。

 とは言え、片目だけが視力低下しても、普段両目でものを見ていると気が付きにくいものです。できれば週に1回程度、片目を隠して見え方が変わっていないかチェックしてみてもよいでしょう。そしてもし、「おかしいな」と感じたら、眼科の医療機関を受診してください。網膜剥離につながる異常が見つかれば、剥離が起こらないように予防的な処置を行うことができます。また、網膜剥離が起こりやすいと言われる強度近視の方は、年に1回程度は定期検査を受けておくとよいでしょう。

 

(最終更新日:2010/01/28)