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アカントアメーバ角膜炎

 アカントアメーバは土壌、淡水、埃などの自然界に広く生息する原生動物です。近年、コンタクトレンズ装用者にこのアカントアメーバによる角膜炎の報告が増えており、問題となっています。

 アカントアメーバが角膜炎を起こす条件として、日本眼科学会の角膜感染症ガイドラインでは以下の3つをあげています。すなわち、角膜の表面に傷ができていること、アメーバの餌となる細菌がいること、ステロイド剤などの使用で免疫反応が抑えられていること、です。

 コンタクトレンズ装用者では、レンズにより目の表面(主に角膜)の感染予防機能が障害を受けており、そこにレンズ装用による酸素不足やレンズについている消毒薬が影響し、感染を起こしやすい状態にあると言われています。また、コンタクトレンズ装用が原因で角膜感染症にかかり、入院治療を行った方のレンズ・ケースからは洗面所など水回りによく存在する細菌が検出されていて、手指を介してケースにこれらの細菌が混入したと考えられています。さらに、アレルギーなどアカントアメーバ以外の原因で眼表面の炎症が起こることはまれではありませんが、その治療目的でステロイド剤の点眼薬を使用していることが発症を助けてしまう場合もあります。以上のような理由で、コンタクトレンズ装用者ではアカントアメーバ角膜炎が起こりやすい条件が揃いやすいために問題となっているわけです。

 現在のところ、アカントアメーバを確実に退治する薬剤はないので、カビに有効な薬剤や消毒薬を組み合わせた治療が行われていますが、重症例では視力障害を残してしまうこともあります。したがって、予防が最も重要と言われています。具体的には、コンタクトレンズやそのケースの扱いに問題があることが多いので、以下のようなことが予防になると考えられます。

1,レンズを扱う前には石けんと流水でよく手指を洗う。

2,レンズは外した後、必ずこすり洗いをする。

3,定められた時間は必ず消毒液につけておく。

4,ケース内の消毒液は毎回捨てて、その都度新しい液を使用する。

5,ケースは水道水でよく洗い、乾燥させておく。

6,ケースも定期的に交換する。(現在販売されている消毒液の多くにケースが付属しています。)

7,レンズは長時間(目安は1日12時間まで)使用しない。

8,定期的に交換するレンズは、定められた日数を超えて使用しない。

 以上を守って、快適にコンタクトレンズを使いましょう。

 

(最終更新日 2010/10/1)