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家庭でやけどをした時の応急処置

 冬になると家庭での暖房も本格的となって、熱い飲み物や食べ物を取ることが多くなりやけどをする機会も増えて参ります。やけどは熱によって皮膚の組織が壊されることですが、それが浅いか深いかは、受けた熱の温度と受けた時間によって決まります。非常に高い温度によるものでも、受けた時間が短かければ浅いやけどで済みます。例えば、瞬間的に炎であおられた場合がこれに当たります。しかし、低い温度でもゆたんぽやあんかがじかにあたったまま寝込んでしまったような場合には深いやけどになります。

 またやけどはその深さにより赤くなって少しはれる程度の最も軽い第1度から、その上に水膨れの出来る第2度、最も深い場合は白くなって感覚が無くなってしまう第3度のやけどに分けられます。第1度はあとが残らずに治りますが、第2度ではあとに茶色のシミや白く色の抜けた斑点が残る場合があります。第3度は必ず瘢痕になり体質によっては時にケロイドやひきつれを起こすことがあります。第2度でも誤った自家療法等ではばい菌が入って化膿したり潰瘍を作ったりすると第3度と同じ様になることもありますので注意が必要です。

 民間で行われているやけどの手当てには、チンク油、ジャガイモおろし、馬の油その他家伝薬を塗る等適切で無いものが多いようです。とにかく小さい範囲のやけどだったらすぐに冷たい水に浸けて痛みが無くなるまで良く冷やすか、冷たい水に浸したガーゼタオルなど清潔な物でおおい全身を毛布でくるんで保温し急いで専門医の診察を受けてください。片腕全体とか胸全体以上の広いやけどの場合は衣類を脱がせて清潔なタオルやシーツでおおい更に全身を毛布でくるんで保温しながら病院へ運びましょう。またひどいやけどの場合は、ショックが起こり生命が危険になる事もありますので病院へ運ぶまでの間安静にし頭を下げて寝かせ、一切の飲み物は医師の指示があるまで与えてはいけません。いずれにしても、やけどはそのほとんどが人災であり、日常の注意により防ぐ事が出来るものです。くれぐれも熱湯や火の取り扱い等には気をつけましよう。