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巻き爪、陥入爪

 爪のトラブル「巻き爪、陥入爪」についてお話させていただきます。

 

【巻き爪について】

 巻き爪とは爪が強く内側に彎曲し、爪によって爪の下の皮膚が挟まれた状態のことです。

 親趾(足のゆび)の爪に起きやすく、趾(ゆび)の先端で爪が強くカーブし、皮膚に食い込み痛みを生じることがあります。なぜ爪が巻いてくるのかは、以下のように考えられています。通常、爪に両側から力が加わると、爪は内側にカーブするようになりますが、趾の骨がある位置までは骨に邪魔されて過度なカーブを形成することは阻止されます。しかし、骨がない趾の末端では跳ね返す力がないため、横から加わる力によって、より爪がカーブするわけです。原因としては、つま先の細い靴、ハイヒール、深爪などの誤った爪の切り方、外反母趾などが挙げられます。通常、歩行時にバランス良く体重をかけて床を踏み込むように歩くことによって爪が床から受ける圧力が爪にアイロンのような効果をもたらすため爪は巻き込みにくくなりますが、深爪をすることで、痛みを避けるため趾に適当な圧力がかからず、爪は巻いてくるといわれています。

 

【陥入爪について】

 陥入爪とは爪の先端や側面において爪が周囲の皮膚に食い込み、痛みを生じるものです。時に感染を伴ったり、肉芽といわれる赤くグジュグジュした組織が出現することもあります。原因としては深爪、間違った爪の切り方、また爪棘といわれる爪切りの時の切り残しが角のようになり皮膚を刺すことなどが挙げられます。深爪をすると歩行する際の踏み込み時に、下から加わる圧力に負けて、爪に覆われていない先端の組織が隆起して爪が当たり、痛みにつながるとされています。また合わない靴(きつい靴、大きすぎる靴)、肥満、長時間歩行、外反母趾など様々な要素が原因となってきます。

 

【治 療】

アンカーテーピング法

 刺激している爪、爪棘から周囲の皮膚を引っ張ることで、刺激から解放する方法。赤く腫れた組織をテープで覆い、斜め下の爪とは反対の方向に引っ張る。

コットンパッキング法

 食い込んだ爪と皮膚の間にコットンを詰めて、爪の刺激から解放する方法

冷凍凝固法

 赤く腫れた肉芽を液体窒素で冷凍凝固する方法

電気焼灼法

 麻酔を行った上で肉芽を電気メスで焼灼する方法

手術法(フェノール法)

 麻酔を行い、皮膚と爪を一部除去し爪の幅を小さくする方法

ガタ-法

 爪の側縁と炎症を起こした皮膚の間に医療用のチューブを挿入し爪の刺激から解放する方法

形状記憶合金クリップ

 爪の先端にクリップを装着し、爪のカーブを矯正する方法

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マチワイヤー

 爪の先端に穴をあけて金属を通し、爪のカーブを矯正する方法

B/Sスパンジ

 爪の上に弾性プラスチック板を装着し爪の矯正を行う方法

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ポドフィックス

 爪の上にプラスチックと金具でできた装具を装着しねじ上げてカーブを矯正する方法

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コレクティオ

 爪の両サイドにひっかけフックのような金属をつけて、中央でねじ上げて爪の矯正を行う方法

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コンピペド

 爪の特にカーブの強い片側にフックをひっかけ、てこの原理で持ち上げて爪の上に接着剤を用いて固定する方法

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人工爪を用いた方法

 深爪をして食い込んだ爪を持ち上げ、本来必要である長さの爪を人工的に作成する方法

 

 これらの治療を組み合わせて患者様の足に合った処置を心がけています。

 ですが、なんといっても日頃からの足、爪のケアが大切です。爪の周囲の角質のケアをして、正しい爪の切り方、歩き方、靴の選択をしていただきたいと思います。

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(最終更新日:2015/3/1)