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チタンの歯科的応用

 近年メガネのフレームや腕時計の金属部分にチタン(チタニュウム)という金属を使用した製品が増えています。貴金属ではありませんが、比較的その産出量が少なく加工が難しい等の理由で、従来は利用される分野が特殊なものに限られていました。軽くて丈夫であるという特性を利用して、宇宙ロケットの部品やカメラのボディーなどに用いられていました。

 ところが近年、チタンは生体がアレルギーを起こす原因となる抗原になりにくいという性質や、生体の中に入っても異物として拒否されにくく、生体になじみやすいという性質が医療用に有用な素材として広く普及しています。

 金属アレルギーは身につける金属装飾品すべてが原因となります、これは歯科治療に用いられる金属も例外とはならず、ニッケル・クローム、水銀などをはじめ、銀や金までもがその原因金属となります。

 チタンとて完全にアレルギーを起こさないわけではないものの、反応は稀で、そこで注目されました。現在では加工技術も進歩して取り外しの入れ歯や金属冠として歯科治療に要求される精度をほぼ満たすことのできるレベルにあります。

 もう一方の歯科における重要な用途はインプラントと呼ばれる人工歯根の材料としての利用です。人工歯根では顎の骨の中に金属を埋め込むために、生体が異物として拒否することの少ないチタンは以前に使用された人工サファイア(一種のセラミック)と並んで利用価値の高い材料です。純度の高いチタンはその丈夫さと耐腐食性、生体との親和性に加えて、表面加工の進歩が加わり、現在ではインプラント素材の大部分がチタンになりました。

 このように利用価値の高いチタンですが、やはりその加工の難しさとそれにともなう高価格が普及のネックとなりそうです。歯科治療ばかりでなく、ゴルフクラブやアレルギーを意識したピアスなどに利用されて身近になりつつあるチタンに注目してはいかがでしょう。

 

(最終更新日:2010/02/12)