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ドライマウス(口腔乾燥症)

  一般に人はリラックスしていると、ついよだれが出てしまうものです。逆に緊張を強いられるような状況では、口がカラカラに乾くことは多くの人が経験していることでしょう。

 これまでは加齢による唾液腺の機能低下や薬の副作用、シェーグレン症候群という病気などで唾液の出る量が減る症状が知られていますが、ここ数年は若い人を中心に、唾液の減少を原因とした障害が増加しています。乾いた食品が噛みにくく、食べ物を飲みこみにくい、口の中が乾き、のどが張り付くようで話しづらいなどの症状があり、結果として常にペットボトルの飲料水を手放すことができません。また、口の中の食べかすなどを洗い流し、抗菌物質で口の中の細菌繁殖を防ぐ唾液の作用が弱まり虫歯や歯周病に罹りやすく、口内炎を起こし、口臭の原因になります。乾燥により舌にヒビが入り弱い刺激にも痛みを感じるのも特徴的です。

 原因としてはまず、ストレスが考えられます。唾液の分泌は自律神経にコントロールされているのでストレスにより常に緊張状態が続くと唾液が出にくくなります。つぎに食べ物を噛まなくなったことが考えられます。麺類やファーストフードなどの軟質食品ばかりで、噛む習慣を持たないと、唾液腺の働きが弱まり唾液の出る量が減ってしまうのです。その他には冷暖房などの乾燥した室内環境や、鼻でなく口で呼吸をする習慣などが原因に数えられます。

 治療方法は薬の副作用が原因であれば用量を減らしたり、種類を代えます。ストレスが原因と思われるものは、精神科や心療内科で診察を受け、内科や歯科などとの連携治療が必要となりますが、まだ一般的に認知されていないため見過ごされがちです。耳の下にある唾液腺のマッサージや鼻で呼吸する練習、ガムを噛んで唾液の分泌を促進することも有効です。口の中の乾燥によるつらい症状を和らげるために保湿ジェルやうがい薬、スプレー式の人口唾液やそれに似た薬も有効です。診断方法や治療法は確立されつつあり、専門外来も設置されています。