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レーザーを利用した歯科治療

 レーザー光線とは単一の波長を持った、きわめて純粋な光といえるものです。その昔は未来の兵器や殺人光線としてマンガ等で取上げられていたものです。現在では実用の先進科学技術としていろいろな分野で利用されています。

 どこまでも減衰することなく直進する性質を利用して、正確な距離の測定をしたり、細く小さい光線に大きなエネルギーを持たせることができる性質を利用した硬い材料の精密加工等に活用されています。

 これらの歯科治療にも効果的な性質を持つレーザー光線は、歯科の分野でも1963年頃から利用が始まりました。現在歯科で利用されているレーザー光線はソフトレーザーとハードレーザーという名称で、2種類に大きく分けられています。ソフトレーザーは低エネルギーのレーザー光線で、遠赤外線治療器に分類されており、歯を抜いた後や手術後の痛みを軽減したり、傷の治りを促進したり、歯の神経の興奮を静めたりする効果があります。ハリやお灸の代わりに体のツボを刺激するために利用することもあります。現在主流となり、種類も増えているハードレーザーは大きなエネルギーを持つレーザー光線です。レーザーメスに代表されるように歯肉を切ったり、血を止めたり、ばい菌を殺したりすることもできます。出力を調整することで、歯の表層だけ溶かして構造を変え、虫歯に対する抵抗性を強化したり、虫歯の部分を蒸発させて消失させたりすることが可能です。その応用範囲は現在も広がりつづけています。

 また、これらの多くの処置を注意深く行うことにより、痛みが弱く無麻酔で出来る治療の範囲が広がる特性も見逃せません。

 エアータービンに代わり、レーザー光線を応用して、歯に直接触れることなく、かつ無音で歯を削る装置が研究開発され実用に向かっています。熱が出ることへの対策と機器の低価格化が歯科用レーザー機器普及の鍵となるでしょう。

 

(最終更新日:2010/02/12)