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貴金属と歯科治療

 歯科の治療には、金属をはじめ、プラスチックやセラミックス等の、各種材料が使用されています。

 中でも金属は最も使用範囲の広い材料として欠くことの出来ないものです。金・銀・銅からニッケル、クローム等まで、多種類の金属がいろいろな組み合わせと割合で混ぜ合わされた合金として用いられています。その中でも金や白金に代表される、産出量が少なく、比較的高価な金属を貴金属と呼んでいます。

 金は古くから最も有効で高級な歯科材料として使用されてきました。金は腐蝕しにくく、細工がしやすく、人体に害が少ない等利点が多く、歯科材料として利用価値の高い材料です。しかし純金である24Kでは軟らかすぎるため、いろいろな金属を混ぜて20Kや18Kの合金として、その軟らかさや延びの良さを生かして、適材適所に利用されています。白金を混ぜ加えることで硬くて精度を高めやすい合金として利用されることがありますが、やはり高価であるため使用範囲や量が限られています。銀は比較的安価ですが、これも貴金属に含めれば現在歯科治療に用いられる金属はほとんどが貴金属ということになります。健康保険の歯科治療で一般的に用いられる金銀パラジウム合金は、一割強の金とパラジウムそれに多量の銀が用いられています。銅や白金は歯科治療で多量に用いられることは稀ですが、一定の割合で合金の成分として用いられています。

 しかし、歯科材料は貴金属でなくてはいけない訳ではありません。コバルトやニッケル・クローム等は取りはずし義歯の材料として有効で、硬くて、サビない性質が生かされています。

 最近、特に注目されているチタンは、加工のむずかしさを最新技術で克服して、人工歯根やその他の広い分野で用いますが、このチタンはまだかなり高価な金属で、貴金属といっても良いほどです。貴金属に限らず、いずれの金属も適材適所に用いられて生きるものなのです。

 貴金属は世界の経済動向により、価格が大きく変動する欠点を抱えています。

 

(最終更新日:2010/02/12)