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歯に良い食べ物を

 歯の健康と食べ物や栄養素との関係を考える場合、歯そのものと、歯を支えている歯肉や骨などの周囲の組織に関係するものとに分けて考えなくてはなりません。

 小魚を食べたり牛乳を飲むと歯や骨が丈夫になると言われていますが、それは本当でしょうか。歯は骨とよく似た組織のため、できあがるまでに必要な栄養も似ています。しかし歯はできあがってしまうとその後の栄養の影響を受けにくいのが特徴で、乳歯、永久歯共に体内で歯が作られている時に十分な栄養が供給されることが大切です。それは、乳歯では妊娠4ヶ月頃から生後1年ぐらいまで、永久歯では出生時から7?8歳までの時期で、その時期の母体ないしは乳幼児の食べ物が最も歯に影響を与えます。歯のできる過程と、歯を構成している成分を考えると小魚や牛乳に含まれるカルシウムはもちろん、肉や魚に多く含まれるタンパク質、パンやご飯に含まれる糖質から各種ビタミンや無機質成分などに至るまで過不足なく摂ることが大切です。このことから分るのは、歯そのものは、大人になってからの食べ物で歯を強化することがほとんどできないと言うことです。

 これに比べると歯肉や歯槽骨等の歯周組織に対する毎日の食べ物の影響はかなり大きいと言えるでしょう。歯周組織の健康に必要な栄養は三大栄養素を含めて多岐にわたりますが、現代食では野菜、小魚、海藻などから摂取するビタミン、ミネラル、食物繊維などが不足しがちです。特にビタミンCやビタミン群は歯肉の健康を守るのに重要な役割を担っています。栄養素とは異なりますが、適度な食べ物の固さや歯ごたえは歯周組織や顎を動かす筋肉を刺激して血行を良くするため歯に良い食べ物といえます。

 すなわち、多種多様な食べ物をバランスよく食べることが必要で、いずれか一つが歯に良い食べ物ということではなく、全身の健康に良い食べ物が歯にも良いことがわかります。

 

(最終更新日:2010/3/26)