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歯の往診

 日本はこれから急激な高齢化社会が訪れ、いわゆる寝たきり高齢者や、足腰の衰えにより外出が困難な人も増えそうです。また体に障害を持つために寝たきりの状態の人や、家の中なら移動できても外出までは困難な人も相当数いらっしゃると思われます。家族の中にそのような人がいる家庭で困ることの一つが、歯の痛みや入れ歯等が合わずに物が噛めなくなり歯科治療を受ける必要が出た時でしょう。 

 医科に往診があるように、歯科にも患者さんの家まで出向いて治療を行う、歯科の訪問治療があります。例えば、虫歯が進んで神経に達すると歯はズキズキと痛み、この時は部分麻酔をして神経を取る治療が必要です。また歯周病でぐらぐらになったり、虫歯の末に根の部分だけが残った歯は抜かなくてはなりません。合わなくなった入れ歯は修理をして噛めるように直すか、新しい入れ歯を作る必要があります。歯科の訪問治療はそれらの治療を歯科医院に足を運ぶことなしに自宅で行います。しかし歯科治療の場合、複雑な機械や道具を使わなければできない治療が多いため、歯科医院に通院するのと同じ治療が可能な訳ではありません。また、在宅の患者さんは全身的な病気を複数持っている場合も多く、治療内容に制限を受ける事もよくあります。治療の範囲は担当する歯科医の判断に任されることになりますので、よくご相談下さい。

 高齢化社会が到来し、歯科医の間にも訪問診療に対する関心が高まり、現在では訪問診療に対応できる歯科医が多くなりました。訪問診療専門の医院や専用の車輌を持つ歯科医院もあります。

 また、地方自治体や地域歯科医師会の中にも訪問診療に力を入れる所が増えました。訪問歯科治療を希望される方は市町村役場、区役所、保健所、地域歯科医師会など、また介護保険の介護認定を受けている方は介護支援専門員などに問い合わせてください。

 なお、費用は医療保険が利用できますが介護保険による介護認定を受けている方では介護保険が適用される歯科関連の部分で、費用の1割が本人負担となります。また往診時の車代の実費は患者さんの負担となることがありますので、ご注意下さい。

 

(最終更新日:2010/3/26)