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若い人の歯周病

 歯周病は歯肉や骨などの歯を支えている組織の病気で、一般に歯槽膿漏と呼ばれる病気はやや進行した歯周病の名称です。歯肉が赤く腫れたり、出血したりする歯肉炎から歯を支える骨が減って歯が揺れたり、歯のまわりに常に膿をもってしまう段階まであります。急性になりひどく腫れたり、痛んだりすることもあり、最終的には歯は自然に抜けてしまいます。

 壮年以降の病気と思われていたこの歯周病が最近若い人の間に広がっています。年をとったから歯が揺れてきたとか、歯が抜け出してきたようだという話をよく耳にしますが、歯周病は、原因となる歯周病菌があって成り立つ感染症で年齢とは直接の関係はありません。

 歯周病はもともとゆっくりと進行する慢性病のため、ある年齢以降に症状が出てくるのです。以前から少数の子供に原因がハッキリしない、限られた歯だけにおこる歯周病がありましたがこれは遺伝的な原因や特殊な原因菌がかかわっていることがわかってきました。これらの特別な歯周病と異なり、歯肉の腫れや出血、軽い骨の減少をともなう軽度の歯周病が若い人の間に増えています。

 最近の若い人は子供のころから軟らかい食べ物を摂ることが多く、顎の筋肉や骨格の成長が十分ではありません。結果として歯並びに問題が多く、原因となる細菌の塊である、歯垢が残りやすかったり、噛み合わせの悪さから一部の歯に負担が集中する等して、そこから歯周病が悪化することになります。又、軟らかい食べ物では歯の自然な清掃効果が期待できず、噛む回数の減少は歯や顎の周囲組織の血行を悪くして、歯周病を悪化、進行させます。

 若い人の栄養バランスの悪さも問題です。スナック食品やファーストフードの普及による脂肪の過剰摂取や、蛋白質、ビタミン、ミネラル類の不足も歯周病にかかりやすくします。その他に免疫抵抗力の低下やアレルギーの問題、又、不規則な生活習慣やストレスの増加などの社会的要因も関係していると思われます。歯周病は年齢と直接関係はありません。歯周病の予防には病原菌の除去、すなわちブラッシングによる歯垢の除去とバランスのとれた食生活が大切です。