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人工歯根インプラントとは

 歯科におけるインプラントとは、歯の抜けた顎の骨に埋め込んで利用する、人工歯根のことです。元々は、けがや病気で失われた体の一部分を、生体以外の人工物を利用して補う治療方法のことをいいます。歯科の分野でもその発想の源は古く、紀元前のエジプトにあり、歯の抜けた穴に他人の歯や象牙、宝石などを埋め込む試みがなされていました。  

 現在の歯科インプラントの基礎は約百年前西欧の歯科医たちがネジ式やラセン式の人工歯根を歯の無い所や、歯を抜いた後の穴に植え込んだことに始まります。日本では約40年ほど前から、実験的に治療に取り入れられるようになり、いろいろな形式や材料のインプラントが日本を含む世界各国のメーカーから販売されています。ここ十年でほぼ実用に耐える方法と材料が確立されてきたと言えるでしょう。

 インプラント本体の形はネジ型、円柱型、中空円柱型、T字型などがあります。材料としては、以前は人工サファイヤや各種の合金製のものがありましたが、現在では、生体に馴染みが良く、丈夫で錆びにくい金属であるチタンが主流で、骨と同じ成分の人工骨できたものやそれらの複合材料が注目されています。表面の性状を工夫して顎の骨にうまく固定されるようにする研究開発が進められています。

 失われた歯一本を補うことから、総入れ歯を人工歯根で顎に固定する方法までその応用は広い範囲に及びます。しかしインプラントは手術をして異物を体の中に入れ込むわけですから、誰にでも、どの部位にでも出来るというものではありません。全身的な健康状態、X線による骨の検査、噛み合わせの検査、患者さん本人が口の中を十分清潔に保てるかどうかまで、いろいろな要件を調べてインプラントを行うことの適否を慎重に確かめてから成されるべきものです。インプラントを行う歯科医師には、より高い知識、技術、経験が要求され、加えて費用も比較的大きくなります。

 成功すれば患者さんの満足度も高い治療方法ですから、より一層の研究と技術開発を進め、より確実な治療法として発展、普及することが期待されています。