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虫歯予防とフッ素

 虫歯の予防法としては、歯みがきをして虫歯菌や食べカスを取り除き、甘い食べ物や飲み物、間食などを控えて口の環境を整えることや、歯の質自体を強くする方法等が、知られています。

 将来実用化が期待されているレーザー光線を利用した歯の表面強化法を除けば、フッ素の応用はほとんど唯一の歯の強化法であるといわれています。自然の飲料水の中に、比較的多くのフッ素を含んでいる地域での虫歯の発生率が少ないという報告がこの発見のヒントになりました。

 フッ素の応用法には、水道水へのフッ化物添加やフッ化物の錠剤による全身応用をはじめ、今や、市販品の9割以上にフッ化物が配合されている歯みがき剤やゼリーの利用、歯科医師や専門家によるフッ化物塗布、フッ化物溶液でのブクブクうがい等が有ります。欧米ではこれらのいくつかを組み合わせて利用し虫歯予防に効果を上げています。フッ素を応用した虫歯予防は大きな集団に対して容易にかつまんべんなく、そして経済的に行うことができるところにも利点があります。

 良いことづくめに思われるフッ素の応用ですが、フッ素濃度の高い水を飲む地域住民の歯に、斑状歯という白い斑点や濁りを生じる歯の発生率が高いという報告があります。微量のフッ素を長期にわたって用いた場合の研究や報告も少なく、その弊害についても慎重に検討する必要があります。また虫歯の予防効果についても研究者の報告や解釈がすべて一致している訳ではありません。

 平成15年現在、日本の厚生労働省が国民に対して勧めているフッ化物利用の方法はフッ化物洗口法と呼ばれる方法です。就寝前のブラッシングを終えた後、所定の濃度に調整したフッ化物水溶液を少量、口に含んで30秒から1分ほどブクブクうがいをして、全量を吐き出し、そのまま就寝します。それ以外の方法でも低い濃度のフッ化物を回数多く、毎日利用することで効果が高いことがわかっています。

 フッ素の虫歯予防効果が安全性の証明とともに確立され、広く普及し、虫歯の予防効果が高まることは多くの人々が望んでいる事といえるでしょう。