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入れ歯安定剤の功罪

  取り外し式の入れ歯には、残っている自分の歯に多くの支える力を求めたものと、総入れ歯に代表される土手、すなわり口の中の粘膜に吸い着いている入れ歯とに大別することができます。

  もちろんこの2つの中間的なものもありますが、この土手と入れ歯との関係が色々な問題を生じる元となっています。硬いプラスチックや金属などの素材でできている入れ歯がやわらかい肉の土手に乗って、噛む力が加わるたびに微妙に動きます。加えて人間の体は変化します。やせたり、太ったり、年をとったりすれば、それにともなって口の中も少なからず変化します。初めはピッタリでうまくあっていた入れ歯でも時間の経過とともに具合が悪くなるのは致し方ないことでしょう。

  そんな時に手軽に買い求めることのできる市販の入れ歯安定剤は、入れ歯のガタつき、脱落やそれにともなう食べカスの入り込み、土手の傷などの痛みを一時的に軽くすることができる点ではなかなかありがたい味方といえるでしょう。

  市販の入れ歯安定剤は2つの種類に大別できます。1つは粉状ないしはサラサラなノリ状のもので、これは入れ歯と土手の間で文字通りノリの役目をして入れ歯が脱落することを防いでくれます。この種類の欠点は1~2回の食事ごとに又は比較的短い時間内につけ直す必要があることと、入れ歯をはずした後、口の中や入れ歯本体にベタつきが残ることでしょう。

  もう一つの種類はかなり弾力性と粘着性のある、水に溶けないガムと粘土の中間のような材料で、入れ歯と土手の間に介在して、すき間をピッタリとふさぎ、安定させます。製品によって1日から数日はそのまま使用することができ、はり換えも自由です。しかしながら噛み合わせの不安定さが慢性化してしまい顎の関節に問題を生じたり、土手の高さが失われて、将来的に入れ歯の安定がより悪化することもあります。歯科医は市販の入れ歯安定剤では得られない耐久性のある方法や材料を持っています

  どんなに良く合った入れ歯でも時間の経過とともに不具合が生じます。少なくとも、1~2年に一度は入れ歯の調整や修正をうけて市販の入れ歯安定剤が必要でない快適な状態で入れ歯を使用してください。