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萌えてきた歯の異常

 人間は一生に2回新しい歯が生えてくる、二代生歯の特徴を持つ動物です。新生児の場合、平均的に生後6ヶ月程で下または上の前歯が顔を見せます。また、6歳前後になると第一大臼歯、いわゆる6歳臼歯が生えてくると共に乳歯の前歯から順次、永久歯に生え変わっていきます。新しい歯が生えてくるのは親にとっても子供の成長を感じる楽しみな出来事ですが、同時に歯に関する心配事も多く発生する時期でもあります。はえてきた歯に見られる異常についてお話しましょう。

 比較的高い頻度で現れる異常にエナメル質形成障害があります。これは歯が生える前、顎の骨の中で歯がつくられているときに何らかの問題があったものです。歯の表面に白い斑点や褐色のまだら模様が現れる軽症のものから、歯の一部が欠けて形が不正になったり、より重症の場合、黒っぽい色の小さな歯になることもあります。原因としては歯が造られる時期に重なった全身的な病気やビタミン欠乏などの栄養障害、遺伝性の原因などが挙げられます。単独の歯に障害が出る場合では、永久歯に交換する前の乳歯のひどい虫歯や外傷などの外からの物理的な力やけがによる場合もあります。

 歯の形態異常には本来の形より著しく小さい歯の矮小歯や感染症の一症状として現れるたる型の歯などがよく知られています。歯の数の異常も比較的よく見られる異常です。新生児のときから歯が生えていたり、永久歯の萌出に先立って生えてくることのある過剰歯や生えてくるはずの歯が数本から全数にわたって不足する欠如歯があります。二本分の歯がいろいろな程度で合体して生えてくる癒合歯もよく見られる異常のひとつです。歯が生える年齢時期は個人差が大きくどこからが異常であるということは一概に言えません。フッ素の過剰摂取による白い斑状の歯などもあります。どれも生えてくる時期前後では予防する方法はありません。見た目や機能の回復にはいくつかの治療方法がありますので歯科医にご相談下さい。