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口に症状の出るウイルス病

  B型肝炎やエイズの病原体として一躍有名になったウイルスは、一般的な細菌より小さく単純な構造をもった微生物です。

  人間にとって病気の原因となるものばかりはありませんが、口の周辺に症状の現れるウイルス病についてお話します。

  まず流行性耳下腺炎ウイルスがあります。いわゆる"おたふく風邪"の病原体で、このウイルスは唾液を介して感染します。二週間程度の潜伏期を経て発病すると耳の下が広い範囲で腫れ、思春期を過ぎた男子では2割程度に睾丸炎が起こり、まれに無精子症になることがあります。事前に生ワクチンの接種をすることで感染を予防することが出来ます。

  次に単純性ヘルペスウイルスがあります。口の中や口唇(くちびる)に水泡を作る、比較的よく見られるウイルス病です。口の周辺に症状の出るⅠ型と性器に症状が出るⅡ型に区分されています。5歳ぐらいまでに多くの人が感染しますが、大部分は症状がでないまま、ウイルスは三叉神経節に潜伏してしまいます。発熱や外傷、過労、月経、ストレス等によって活性化して、神経をたどって口唇(くちびる)やその周辺の皮膚や粘膜で水泡を作ります。

  次に水痘(水ぼうそう)帯状疱疹ウイルスがあります。小児では水疱形成と発熱を伴う伝染性疾患である水痘(水ほうそう)となります。成人では神経の走行にそって水疱ができ発熱と激痛を伴う帯状ヘルペスとなりますが、病原ウイルスは水痘(水ぼうそう)と同じです。

  他に三日熱や夏カゼともいわれるヘルパンギーナや手足口病の原因となるコクサッキーウイルスの感染症があります。ヘルパンギーナは乳幼児が初夏に突然の発熱とともにのどの粘膜に赤みのある小さな水疱を作ります。二日ほどで熱が下がり治ります。

  手足口病は小児に見られ、3日から6日の潜伏期の後に発熱とともに手足や口の中に発疹をつくるので痛みのために食事もままならなくなり、流行性が見られます。その他に発癌性ウイルスやエイズの病原体であるHIVなどによるウイルス病でも症状が口の中に現れることがあります。