活動ニュース
2019年11月17日、神奈川県保険医協会・会議室にて「対論・ゼロの会」を開催しました。テーマは「健康は自己責任か~安心して医療にかかれる社会をめざして~」とし、講師は、「医療保険『一部負担』の根拠を追う」の著者、立教大学コミュニティ福祉学部教授の芝田英昭氏が務めました。芝田さんは、医療を含む日本の社会保障には人権という視点が欠落しており、それを勝ち取るため国民的運動の提起が求められると解説しました。
国民に根強い『健康自己責任論』
芝田さんは冒頭、先行調査研究から国民の4~6割が「健康増進・維持は個人の責任」と答えており、その意識は根強いものであるとしました。資本主義社会で人はあらゆるものを商品として購入することに慣れ、医療もその一つと捉えられているが、格差拡大により推計100万人に上る無保険状態の人や1千万人の非正規労働者がいる中で、彼らは必要なものを全て購入できるわけではなく、自己責任では済まされないとしました。
「コンビニ受診」は本当か
その発足時から医療保険の前提は「自己責任」でした。『一部負担』に制度的根拠はなく受診抑制を狙ったもの。その上で、東京都の休日・夜間診療は小児医療費の無料化によってむしろ受診率が低下したというデータを示し、「コンビニ受診」は幻想としました。
「どこから調達するか」でなく「誰が負担するか」
芝田さんは日本とヨーロッパ主要国の社会保障財源割合の比較を示し、取りやすさを主眼とした「どこから調達するのか」ではなく、人権を主眼とした「誰が負担すべきなのか」を考える必要があると強調しました。