医療費の窓口負担 ゼロの会

対論ゼロの会・第3弾 憲法25条に真に立つ国家へ 作家・辻井喬氏と語る

活動ニュース

DSC_0253.JPG桜満開の2010年4月3日、「対論ゼロの会―作家・辻井喬氏と語る」を横浜・はまぎんホールで開催しました。

「医療費の窓口負担ゼロの会」発起人の平尾紘一・協会名誉理事長と経済人・堤清二としても著名な辻井氏の対談は、医療、経済、労働、教育、国家財政、憲法25条と9条と、この国にありかたを問う豊富な内容になりました。

また、著名人賛同者で医師・作家のなだいなだ氏や映画監督・千葉茂樹氏が参加のサプライズや、フロアからの米国の医療改革や後期高齢者医療制度などの旬や深い問題での質疑応答と、映画「シッコ」鑑賞とあわせ4時間の企画に、会場一杯の500名が参加しました。

ジャーナリスト、派遣村村長と継いできた対談企画の第3弾となる今回は、マイケル・ムーア作品の映画「キャピタリズム」を第一部で上映。この資本主義を問うムーアの突撃取材は、米国の金融経済の犯罪性や残酷さをスクリーンに抉り出し、最後に第二次世界大戦時にルーズベルト大統領の「教育、職業、住宅、社会保障を国民の権利として認め、実現に努力する」との演説を引き、未だ実現されていないと突きつけました。

第二部の対論は池川理事長の主催者挨拶の後、フリーライターで「日本の医療を守る市民の会」の早川幸子氏が司会で進行しました。

平尾氏は、医師になった1965年は心筋塞で助かるのは10人に1人程度で有効な手建てがなかった、いまは医学の進歩で10人に1人亡くなると問題になる。脳梗塞も発症してすぐに医療を受ければ麻痺、後遺症がない。昔と違い患者一人を複数の医師が診る時代であり隔世の感がある。日本ほど早期がんの発見が多い国も世界にはない。医師不足は数を削減した問題もあるが医療の質の高度化に対応していない面が大きい。世界21位の低医療費政策のため、専門の糖尿病の分野では、治療充実のために栄養士や運動指導士など専門職が雇えない。自分は60名のスタッフを抱えているが多くは諦めている。「もっと助けたい」「良い治療をしたい」との医師の思いは叶わない。産婦人科の逮捕でリスクの多い科目を回避しはじめ、ガンガンセンターは入院が2カ月待ち。タライ回し、病院倒産以外の報道されない医療崩壊が確実に進んでいる。良い医療へは医療費総枠の拡大が必要だがだが今の仕組みでは患者負担が増える。だから負担ゼロを提唱した。現現実に欧州諸国は負担ゼロであり、日本もかつては健保本人はゼロだった。受診控えも深刻、病人は誰でも受診できる社会を作りたい―と話しました。 

権利としての社会保障 疾病の原因企業に財政負担

辻井氏は生存権保障の憲法25条の全文紹介から切り出し、医療の公的性格を正確に政府や財界は理解していない。競争原理、市場原理主義一辺倒で米国のモノマネばかりと批判。医療の問題は日本社会の状況を表している。市場経済は有効なシステムだが重大な欠陥がある。公共サーの整備、社会への企業責任、企業間の相互配慮が必要だと述べました。

対論では、▽負担ゼロでのモラルハザード懸念に関し潜在需要が回復するのみであること、▽サッチャー時代に医療費抑制が徹底された英国はいまでも甲状腺がんの手術は6カ月待ちで低下した医師の士気は回復おらず日本も同様の危険があること、▽「自己責任」の悪用、▽働くものの立場を理解しない財界の古い意識、▽フランスの医療者のデモとストライキへの国民の親和性と理解の深さ、▽基本的人権としての労働権、ストライキ権、▽欧州諸国での企業の社会保障負担の高さ、▽不要不急の公共事業による国家財政の悪化―など多岐にわたり意見交換がなされました。

フロアを交えた討論では、なだ氏よりアルコール依存治療のため原因企業の酒造メーカーから利益の一定額を負担させるなど医療費の財源捻出は工夫が必要と出されました。

また、米国の保険会社により公的保険の侵食と医療ビジネスと無縁であることの医師からの発信の強化、医療費の水準を巡りGDP対比ではなく必須の絶対的医療費の上に比例的な考えが必要(辻井氏)、妥協を重ね民間保険主体の皆保険創設としたオバマ医療改革の限界と評価点、後期高齢者医療制度廃止への住民運動との連携、基地県の住民として憲法9条と25条を守ることの大切さなど、国のあり方や今後を考える多くの題材と示唆が出されました。

最後に、平尾氏は日本の高い健康達成度は皆保険や医療者の努力・献身もあるが日本食の影響が大きい。かつて長寿日本一だった沖縄は米国型の食事の流入で転落し、いまは食習慣の残る岐阜や長野が長寿だと締めた。辻井氏は、謝辞を述べ、早川氏から「ゼロの会」への賛同が呼びかけられ閉会しました。

参加者は全て個人参加で朝日新聞や共同通信、m3.comなどの記者、医師・歯科医師も多数参加。半数の参加者から感想が寄せられ、「負担ゼロの必要性がわかった」「社会保障制度の改善が前提というのが伝わった」などと高評価を得ました。

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