活動ニュース
医療費の窓口負担「ゼロの会」は2015年5月9日、「対論・ゼロの会-本田宏氏と語る」を開催し、97名が参加しました。
第7弾となる今回は、医療制度研究会副理事長(元埼玉県済生会栗橋病院院長補佐)の本田宏氏が講演しました。日本の医療費が先進国中最低レベルであることや、日本の医師不足の現状-等を随所に笑いを織り交ぜながら解説しました。また、医療費無料の国キューバの視察談も披露し、講演後は参加者と対論する形で質疑応答を行ないました。
本田氏は冒頭、自身のこれまでの活動を紹介し、勤務医時代の医師不足の経験等から、官尊民卑を変えるために立ち上がり、様々なテレビ番組への出演や、新聞での連載、書籍の執筆、国会への働きかけ、デモ活動に従事。活動を通して苦汁をなめつつも、医師不足の現状や医療費総枠拡大の必要性を訴え続けてきたことを強調しました。その中で、日本の医師数は高齢医師を含めて先進国で最低であること、1週間あたりの勤務時間も他の先進国と比べ群を抜いて長く、勤務医においては3分の2が過労死認定基準以上であることや、日本の医療費は先進国最低であるのに自己負担は最高レベル、といった矛盾も糾弾しました。
未来を見据え種を撒き続ける
続いて、キューバ視察の経験談を紹介し、アメリカの経済制裁が厳しくGDPも低いにも関わらず、平均寿命は長いキューバには、医療や教育を重んじ、無償でそれらを国民に提供する「弱きを助け強きを挫く」精神があると強調しました。また、本田氏は「ひとりでも多くの人、できるだけ若い人に対して講演を行っていきたい。そのうえで、日本人の投票率を上げることが医療崩壊を防ぐ大きな解決策になる」とし、キューバの95%、デンマークやアイスランドの80%以上と同程度の投票率を目指し、少しでも引き上げに繋がる努力を続けていくと力強く述べました。
さらに、医療の充実のために財源の有無が問われるが、「財源論で勝負しては財務省に負けてしまう。財源論ではなく、国民にとってどのような国がよいか、どのような医療がよいかを説いて投票率を上げることが一番だと考えている。すぐに実現するわけではないが、目の黒いうちは種を撒き続けたい」としました。医療者が立ち上がり、一歩外に出て一般の方と連携することも重要とし、それにより医療の現状と充実の必要性への理解が広がることを強調しました。
デンマークやキューバの施策に学べ
質疑は参加者との"対論"という形で行われました。協会名誉理事長で「医療費の窓口負担『ゼロの会』」発起人の平尾紘一氏は、窓口負担ゼロのデンマークの実情を紹介し、糖尿病の治療中断がなく、早期に充実した治療が施されるため、透析が必要にならず、医療費が抑えられていること等を語りました。それに対し本田氏も、キューバでは生まれたときから家庭医が患者をフォローする体制が出来ているとし、患者教育もしっかりとなされていることで早期治療の徹底と医療費の抑制がされていることを紹介しました。