2007年発足~2024年9月1日現在
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Q1.医療費の窓口負担「ゼロの会」とは何ですか?
(答え)
「医療費の窓口負担ゼロの実現」の一点を目標とする会です。
事務局は神奈川県保険医協会がつとめています。
Q2.なぜ今、窓口負担ゼロを求めるのですか?
(答え)
窓口負担は2003年に3割となり、過重な負担に治療中断や受診の手控えが起きています。さらに「格差社会」がのしかかり、明らかに、患者さんが治療代を払えなくなっています。
お金の心配をせず誰もが医療を受けられる仕組みが必要です。そのために窓口負担ゼロを求めているのです。
Q3.なぜ「負担軽減」ではなく、「負担解消、ゼロ割」なのですか?
(答え)
健康保険法は必要な医療を「現物」、つまり診察・検査・注射などを、受診時に負担無しで保障すると原則でうたっています。窓口で負担すること自体が矛盾した話なのです。
国の医療保険は、もしもの際の保障をリスク分散する「保険のシステム」を使っています。同じシステムの民間医療保険には受診時負担はありません。
Q4.「負担ゼロ」というのは虫が良すぎませんか?
(答え)
「負担ゼロ」は受診時だけの話です。 保険料をゼロにすることは求めていません。
Q5.負担ゼロは夢みたいな話ですが、この世の中にそんな国があるのですか?
(答え)
イギリス、イタリア、オランダ、オーストラリア、カナダ、ギリシャ、スペイン、ドイツ、デンマークは原則窓口負担がありません!
※ 一部、初診時や薬剤費の負担がある国があります。
<参考>
フランス | 全額支払い、後日ほぼ同額払い戻される。基礎的疾病給付と自己負担分を補てんする付加的疾病給付の両方から、ほぼ全額が払い戻される |
アメリカ | 全国民をカバーする公的保険はない |
日本 | 未就学児2割、小学校~69歳3割、70歳以上1~3割定率負担 |
Q6.日本で負担ゼロなどという話はできそうもないのでは?
(答え)
1984年まで健保本人は0割負担(初診時800円)、高齢者は1983年まで無料でした。過去には実現していたのです。また、1961年にできた皆保険制度は、国保などの給付割合を5割から7割に改善するなど、充実が図られてきました。
現在でも、自治体の努力で中学校まで無料とするところは少なくありません。
Q7.国が医療費抑制に躍起になっている中で、負担ゼロとなれば受診率が上がり医療費が膨らみませんか?
(答え)
窓口負担の度重なる引き上げで、受診率は落ちこみました。壮年層はピーク時から年間68万人も減少しています(2017年)。
窓口負担がなくなれば受診率は確かに上がりますが、実は医療費総体でみると大きくは影響しません。
レセプト点数でみると、医療費の大部分は上位25%の患者さんが占めています。これは高度な医療を受けている方などで、「高額療養費制度」により限度額を超えた分は払い戻されているため、負担の多寡は受診動向に影響しません。
影響を与えるのは残り75%の患者さんですが、これは総医療費の25%に過ぎません。また、ほとんどの患者さんが使う医療費のため、受診抑制をかけても大きな影響がでないのです。
逆に、受診の手控えで早期発見・早期治療が阻害されるというデメリットがあります。65歳以上の外来・入院の患者数が上昇しているのはその証左でもあります。
「構造改革評価報告書」(2005年12月・内閣府)や、厚生労働白書(2007年)において、政府みずから窓口負担の引き上げは医療費に影響しないと認めています。
<年齢階級別にみた推計患者数の年次推移>
* 2019.3.1 厚生労働省政策統括官付参事官付保健統計室「平成29年(2017)患者調査の概況」より
Q8.それでも、医療費は膨らみませんか?
(答え)
日本の医療費水準は、国の経済力で比べると(対GDP比)、先進諸国30カ国中12位です。ヨーロッパでは、医療費の確保は政策的な一致点です。医療の質・安全・安心の向上、医師不足や現場の過密労働改善のため、経済力に見合った医療費の確保は必要ではないでしょうか。
Q9.負担の解消で、医療機関の収入増となるから取り組むのですか?
(答え)
医療費は、(1)患者さんの窓口負担、(2)国民の保険料、(3)事業主の保険料、(4)国庫負担の4つで成り立っています。
国は1980年代以降、国庫負担率を国保へは45%から38.3%(2019年)に、政管健保へは16.4%から13%に引き下げています。これまでの「窓口負担の引き上げ」とは、国庫や雇用主の代わりに患者さんに負担させるものであり、「負担ゼロ」でも医療機関の収入には影響しません。
「医療崩壊」が起きつつある中、それ以上に受診抑制や治療中断は深刻であり、患者救済が最優先されるべきだというのが、われわれ医療人の議論の結論です。
Q10.財源はどのようにしようと考えていますか?
(答え)
現在、総医療費44兆円(2019年)のうち、国民は窓口負担5兆円と保険料12兆円により40%を負担しています。窓口負担をゼロにするため、国と事業主の負担を増やして窓口負担分をワリカンすることを基本に考えています。
まず、現在25%(11兆円)の国庫負担を過去最高の30%に引き上げ、2.2兆円を捻出します。
また、協会けんぽ・組合健保の事業主と被用者との保険料負担割合を、現在の5:5からヨーロッパ並みの7:3に近づけます。被用者保険の給付費は10.3兆円、患者負担は2.9兆円、トータルの医療費は13.2兆円。給付費10.3兆円は、事業主と国民が5.2兆円ずつ負担しています。事業主にこの給付費の7割を負担してもらうと、7.2兆円で2兆円増加します。国民の5.2兆円は変えません。すると、実質的な負担割合は6:4となりますが合計12.4兆円となり、トータルの13.2兆円に近付きます。さらに、企業の事業規模による調整をします。
以上により、国2.2兆円と事業主2兆円で合計4.2兆円の財源を捻出します。外来の医療費は医科・歯科・薬局の合計26兆円、窓口負担は4.2兆円です。これにより外来での「窓口負担ゼロ」は実現します。
入院も同様に考えます。また、国や企業の負担逃れができないように、国、事業主、国民の負担割合を法律で定めます。
病気は、個人の生活習慣だけに起因するものではありません。野放し状態のタバコやファーストフードによる健康被害、過密労働による精神疾患など、病気は社会的な背景により生み出されるものです。だからこそ、事業主は保険料を負担しているのであり、お金をだすことに責任があるのです。国は、憲法と健康保険法で医療の提供を約束しているので責任は更に重いのです。この点をきちんと是正したいと考えています。
<国民医療費(2019年)> (単位:%)
* 令和元(2019)年度 国民医療費の概況より作成
Q11.保険料を上げると、企業が外国に逃げていきませんか?
(答え)
保険料負担の高い北欧やフランスなどでは海外に企業が逃げているでしょうか?また、国際競争力の番付の上位には、実は社会保障の充実した国々が顔を揃えているのです。
<国際競争力ランキング(2021年版)と国民負担率>
世界競争力ランキング *1 |
国民負担率 *2 (日本は32.0%) |
|
1 |
スイス |
28.5% |
2 |
スウェーデン |
42.9% |
3 |
デンマーク |
46.3% |
4 |
オランダ |
39.3% |
5 |
シンガポール |
- |
*1:IMD(国際経営開発研究所)発表2021年版
*2:租税負担率+社会保障負担率。OECD加盟国、対GDP比(2019年あるいは最新年)
Q12.では、負担ゼロの実現に向けどのように取り組むのですか?
(答え)
賛同書・署名用紙つきのリーフレットを使い、医療機関窓口や諸団体を通じた賛同依頼を行ないます。またホームページからも賛同が得られるようにします。制度を変えるには、国民の圧倒的な支持が何よりです。賛同や署名が1,000万名を超えると政治的には大きな意味をもってきます。
市町村議会へ意見書提出を求めて陳情も行います。全国の1/3の議会から意見書が提出されると、国は何らかの対応を取らざるを得ません。また、選挙の争点となるよう政党やマスコミなどにも働きかけていきます。
Q13.「ゼロの会」への参加はどうすればよいですか?
(答え)
会費は無料、会の趣旨への賛同を以って参加となります。リーフレットの賛同書に記入して投函してください。可能であれば署名を集めていただき投函をお願いいたします。